今年のチームは弱いです ── 試合前、尽誠学園の色摩拓也コーチに今年のチームについて尋ねると、そう返してきた。間違ってはいけない。彼の言う「弱い」は今その瞬間までのことであって、直後の試合を含めてこれからも ── 高校バスケットの集大成ともいうべきウインターカップも弱いままでいる、という意味ではない。
むろんそう断じるのには何かしらの理由があるからだし、それ以前に「弱い」と言いながら、インターハイの香川県予選を通過し、四国ブロック大会も優勝している。「弱い」には「全国トップクラスのチームと戦うには」という枕詞は付くことも忘れてはいけない。
その尽誠学園が、大阪でおこなわれたインターハイの3回戦で仙台大学附属明成と対戦した。結果は70-72。最後の最後に #18 原田裕成がスリーポイントシュートを放ち、決まったのだが、ボールが手から離れる直前に試合終了のブザーが鳴っていた。ノーカウント。

試合後、色摩コーチはこう言っている。
「昨日のゲーム(市立習志野戦)もどっちに転んでもおかしくないところで、3年生中心に勝ったゲームだと思います。今日も勝ちたかったんですけど、3年生のちょっと意地というのか、次につながる心の部分は見えたのかなと思います」
約90分前、弱いと断じたチームが仙台大学附属明成戦を通じて、いや、正確には前日の市立習志野戦から弱さを克服しつつある。何をきっかけにして劇的な変化を見せるかわからない。そういうところに高校バスケットもおもしろさはあるし、尽誠学園の強さと魅力はある。
インターハイに入ってくるまでは、色摩コーチに言われたらやるけれども、黙っていると、いつの間にはトーンダウンしてしまう。つまりは主体的にバスケットと向き合っていなかった。
昨年、金山颯(現筑波大学1年)という圧倒的な個に引っ張られていたことも大きく影響しているかもしれない。色摩コーチも「金山に依存していたわけではないんですけど、金山はガードで、ディフェンスもできて、リバウンドも取れていた子なので……人間的にも生活習慣もしっかりしていた」と、その穴の大きさを認めざるを得なかった。抜けたときはしんどかった、とも言っている。コーチさえそうなのだから、後輩たちからすれば、その穴はさらに大きく感じていたはずだ。
だからといって、誰かが立ち上がるでもなければ、結束するわけでもない。みんなで、みんなでと譲り合い、それが甘さに通じてしまう。
指摘され続け、選手たちも変わろうとしていた。うまく表現しきれなかったけれども、インターハイの舞台で、しかも終盤に追い上げられ、一度は逆転されながらも、勝ちきった市立習志野戦でそのきっかけをつかんだ。色摩コーチは敗れた仙台大学附属明成戦の後にも関わらず、もう一度、前日の市立習志野戦を引き合いに挙げる。

「昨日のゲームで苦しかった展開のなか、子どもらが自分で『ここだぞ、ここだぞ』って言っていましたし、たぶん怖い場面もいっぱいあったと思うんです。(大事な場面でシュートが)落ちたらどうしよう? っていうところで、子どもたちがしっかりとプレーをしてくれてたところがありました。だから(仙台大学附属明成戦も)勝ちたかったかなとも思うんですけど、そんなにバスケットは甘くないよと。当然、相手も一生懸命練習しているチームなので。ただ次につながる大会になったんじゃないのかなと思いました」
成長の兆しはキャプテンの #8 小川颯翔の言葉からもわかる。宮城県出身の小川にとって、仙台大学附属明成はいわゆる「地元の高校」。そのチームに敗れた後、彼もまた前日の試合から振り返っている。











