どうせ跳ぶならもっと高く!(4)より続く
途中でチームを離れた選手にもエールを送る
佐藤涼成の広島ドラゴンフライズ入りは、オータムリーグ、インカレを目前としたタイミングであったことで耳目を集めたが、振り返ればこれまでも大学途中で退学、あるいは退部しプロの道を選んだ選手は少なくない。今、思い浮かんだだけでも明治大からアメリカ・カナダを経てフィリピンリーグに挑戦した安藤誓哉(アルティーリ千葉)、筑波大からアルバルク東京に入団した馬場雄大(長崎ヴェルカ)、神奈川大から同じくA東京に入った小酒部泰暉、拓殖大からシーホース三河入りした岡田侑大(島根スサノオマジック)、東海大から横浜ビー・コルセアーズを経てNBAを目指した河村勇輝、同じく東海大から千葉ジェッツへの入団を決めた金近廉、入学からわずか数か月でA千葉入りを発表した渡邉怜音などの名前が挙がる。

当時の彼らはそれぞれの大学のエース、もしくは次代のチーム構想の柱として期待される存在であった。大学側からすれば高校の大会に幾度となく足を運び、時間をかけてスカウティングし、話し合いの時間を持ち、場合によってはスカラシップなどの条件も提示し、4年間かけて育てていこうと決めた選手たちだ。『本人の意思を尊重し、新しいスタートにエールを送りたい』と言いながらも、内心複雑な思いもあったのではなかろうか。
「涼成のときもそうでしたが、その選手の可能性を知っているからこそ次のステージでも頑張ってほしいと思う。そう願って送り出すというのは他の大学の監督さんもみな同じだと思います。ただ大学を辞めてプロになる道は片道切符ですから、もしも(プロで)上手くいかなくても戻って来ることはできない。そういった覚悟はあるのか?という話を含めて選手としっかり話し合う時間は必要だと思っています。一方で大学とBリーグの関係性を考えると、表現は難しいですが、学連(大学バスケットボール連盟)はBリーグからちゃんとリスペクトされていない印象があります。同じ土俵の上に立てていないというか。対等に、とまでは言いませんが、お互い選手の将来を考えるのなら少なくとも同じ土俵の上でしっかり意見交換をしたい。その水準まで上がっていかなきゃならない。でも、現状はそこだけずっと時間が止まっているような気がするんですよ。なんていうか、(学連だけが)周りの変化に置いていかれているみたいな気がするんです」

現場だけでは変わらないもどかしさ
網野友雄が言うように10年前にBリーグが発足して以来、日本バスケットボール界の景色は大きく変化してきた。さらに2026-27シーズンからは『B.革新』の名の下、『B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)』、『B.LEAGUE ONE(Bワン)』、『B.LEAGUE NEXT(Bネクスト)』の3つのカテゴリーに分かれた構成となり、新たに導入される外国籍選手のレギュレーション、サラリーキャップ、ドラフト制度(第1回は2026年1月に実施)などにも注目が集まっている。また、下のカテゴリーに目を向ければ高校バスケの人気は高く、今や冬の風物詩となったウインターカップには例年全国から多くのバスケファンが足を運ぶ。それに対し大学バスケは?というと、以前はテレビで見られたインカレ決勝の全国放送もいつの間にかなくなり、露出度はむしろ下がっている印象だ。ひと言で言えば非常にもったいない。
「大学バスケが盛り上がりに欠けているという声は残念ながらよく耳にします。そのたびに感じるのはもどかしさですね。そもそも僕が大学バスケに携わったとき、白鷗大を強くして日本一を勝ち取りたいという目標があったのはもちろんですが、それと同時に『(大学)業界、組織を変えていきたい』という気持ちがありました。簡単なことではないですよね。それを実現させるためにはまず自分が発信した意見に耳を傾けてもらわなきゃならない。耳を傾けてもらうにはそれなりの実績も積まなくてはならない。つまり白鷗大が着実に力をつけていくことが必要なわけで、結果を出してこそ認知されるというか、リスペクトを得られるというか、そんなふうに考えていました。だけど、思うに組織を変えるためには現場だけが頑張っても無理なんですよ。絶対変わらない。かといって現場の人間である自分が連盟の仕事に全振りすることはできないし、そこにもどかしさがある。すごくもどかしさを感じていますね」











