Bリーグは今オフのヘッドコーチ人事も例年通り目まぐるしく、B.PREMIERは26クラブ中12クラブで新指揮官が誕生。西地区はレギュラーシーズン上位4クラブが全て指揮官交代となり、日本代表も率いる琉球ゴールデンキングス・桶谷大HCの川崎ブレイブサンダースへの移籍は特に大きな話題を呼んだ。一方、B.ONEも25クラブ中9クラブで新HCが就任しているが、最後のB3王者である立川ダイスが招聘したのは、ある意味では桶谷HC以上のビッグネームだ。
陸川章HCは、現役時代に日本代表のセンターとして活躍し、引退後はアメリカ留学を経て当時関東学生リーグ2部の東海大HCに就任。インカレ制覇や後の日本代表選手輩出など、その実績を挙げればキリがなく、大学バスケット界にその名を轟かせた人物だ。

その陸川HC就任後初めてのプレシーズンゲームが9月8日に開催。同じく日本を代表するスーパースターだった北卓也HC率いる金沢サムライズを相手に、先行された展開から中盤はクロスゲームに持ち込んだものの、第4クォーターに突き放されて81-96の黒星となった。
「まず我々はリバウンド、ディフェンス、ルーズボールで勝つということを目標にしたんですが、それは発揮できなかったと思います。一つは、相手の外国籍選手のロック(ローカス・ガスティス)は昨シーズンこのチームにいたのでいろんな情報はあったんですけど、日本人選手のことをわかってなくて、13本の3ポイントを見事に決められてしまいました。そこをどうアジャストして守れるかが課題だと思います」
陸川HCは東海大でもチームの組織力を重視し、ディフェンスに軸足を置いたバスケットスタイルで戦ってきた。第2クォーターに一旦は逆転することができたのも、起点となったのはディフェンス。もちろん完成度は高めていく必要があるものの、実戦で一定の収穫を得られたことは今後につながるだろう。
「チェンジングディフェンスを使ったときにチームが一体となって、ゾーンディフェンスは一つの武器になると感じましたね。激しく当たって時間を奪って、最後にタフショットを打たせることができたのは良かったと思います。ですが、マンツーマンディフェンスに戻したときにスクリーンプレーを守るところ、3ポイントを打たれたところは課題が残りました」
いくら大学バスケット界で実績があるといっても、プロの世界はその経験がそのまま通用するわけでもない。外国籍選手を交えたラインアップも、これから迎える半年以上の長丁場も、陸川HCにとっては未体験ゾーン。開幕前の現時点でも、「プロがすごいなと思うのは、学生の場合だと細かなことを何回も教えないといけないんですけど、プロは理解力があるので、一つのことを教えるにしても数回で済んで、時間がどんどん短縮できる。そこは『プロって違うな』と思いました」と大学との違いを実感しているところだが、一方では東海大時代と同じような指導がプロでもできるという感触もあるようだ。

「面談みたいなものをしたときに『この練習はどうだ?』と訊いたら、『プロらしくない』と言われたんです。学生のようにガンガン追い込んでトレーニングしたんですが、それを『良いと思います』と言ってくれたんですね。私はプロのコーチの経験はないですけど、選手時代にはそういう経験もしてきましたし、私はやっぱり練習しなきゃ勝てないと思ってるんです。今はまだ負けるかもしれないけど、これをずっと続けていけば成果が出ると思います」
プロリーグに身を投じたことは、陸川HCにとっては新しいチャレンジだけではない意味を持つ。東海大出身者は、Bリーグでは一大勢力。立川のロスターにも、今シーズンは2人の陸川門下生が新たに加わった。試合後には小玉大智の実母とも顔を合わせたとのことだが、2人に関するエピソードを聞くと、25年に及んだ東海大での指導歴で教え子を分け隔てることなく、親身に接していたことが窺える。











