『ECHOES・BREAK THE BORDER』の作者、歩さんに聞く。

バスケットが僕の人生にもたらしたもの part2

part1「小学3年生から学校でしゃべることができなくなりました」より続く

「明日何が起こるかわからないなら、僕しかできないことをやって死にたいと思いました」

── 高校に入学するまでバスケットの経験はなかった歩さんがいきなりバスケットボール部に入るのは相当勇気が必要だったと思いますが。

周りから見たらそうですよね。同じクラスにはバスケの特待生として入って来た子が1人、入学前から練習に参加していた子が2人いたんですが、当時メガネをかけてスポーツとは縁がない感じに見えた僕がバスケ部に入ると知ってかなり驚いたと思います。けど、なんだろう、そのときは「勇気を持って入った」というより体が勝手に動いて入ったという感じでした。高校では昔の自分を知っている人はほとんどいないから、変わるんだったら今だ、今がそのチャンスだと思ったら体が自動的に動いて入部してたんです(笑)。友だちとしゃべれない自分に対するコンプレックスが強過ぎてとにかく変わりたかったんですね。バスケ部では当然ダントツに下手くそで3年間ベンチウォーマーでしたけど、それは想定内だったので落ち込むことはなかったです。

── 辞めたいと思うことはなかったですか?

なかったですね。もし部活から逃げちゃったら元の自分に戻ってしまう気がして辞めたいとは思いませんでした。それに部活では毎日「声を出せ」って言われるじゃないですか。何をするにも声を出すことから始まりますよね。部活では大声を出すのが普通だし、僕なんか特に「声を出せ」と毎日言われて、叫んでいるうちに人生が変わりました(笑)。思えばあれは自分にとってリハビリみたいなものだったのかもしれません。

── チームメイトとしゃべれるようにもなったのですか?

はい。1年生の最初のころに乗り越えられたというか、少しずつしゃべれるようになりました。同期がいて。先輩がいて、1年後には後輩もできて、そういう人間関係ができていくことは初めての経験だったのですごく不思議でした。不思議だったけど楽しかったです。バスケも大好きでしたね。あんなに下手くそだったのに本当にバスケは大好きでした。

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