1試合目に勝って「いけると思いました」というのは、率直な思いだったに違いない。
3×3.EXE PREMIER女子カテゴリーのラウンド7を終えた時点で3位となっていたFLOWLISH GUNMA.EXE(以下、FLOWLISH)は、8月30日の最終ラウンドに順位逆転がかかっていたが、2つの枠をめぐって争うSANJO BEATERS.EXEとUENOHARA SUNRISE.EXEの結果次第では、ラウンド制覇でもプレーオフに進出できない可能性があった。高いハードルであったことは確かだ。
ただし、その最終ラウンドは2年連続で実現したホーム誘致開催。会場のビエント高崎ではチームカラーのオレンジ色のTシャツが来場者に配布され、ホーム感を醸し出していた。FLOWLISHはその後押しを受け、予選ラウンド1試合目のST-KASUMI.EXE戦を劇的な展開で制する。残り3分40秒で8-16という劣勢を跳ね返し、残り4.4秒からのオフェンスでブザービーターのレイアップを決め、2点先取のオーバータイムに突入。1点を取り合った後、FLOWLISHは7つ目のファウルを犯して相手に2本のフリースローを与えるという絶体絶命のピンチに陥るが、これが2本とも外れ、最後は再びドライブからのレイアップで大逆転勝利となった。
2本の起死回生のレイアップをねじ込んだのはいずれも髙橋芙由子。離れかけた白星を引き寄せたのだから、「いけると思いました」というのはごく自然なことだ。2試合目も勝利して決勝トーナメントに進むと、ST-KASUMI.EXEとの再戦となったセミファイナルも激戦を制して決勝に進出。会場を包む空気は、もうFLOWLISHのものだったはずだ。
しかし、FLOWLISHは決勝で敗れ、リーグ参入3シーズン目で初めてプレーオフ進出を逃す結果となった。髙橋個人にとっても初めてのことで、「まだまだアップデートしないと」と話すその口ぶりは重かった。
そんな髙橋だが、個人としては軽快に階段を駆け上がっている真っ最中だ。今シーズンの3×3.EXE PREMIER女子カテゴリーでは総得点・1試合平均得点・2ポイント成功数・KOショットの全てで1位。6月に開催されたQUEEN OF QUEENS 3×3で優勝し、FIBA 3×3 Women’s SeriesアゼルバイジャンSTOPに出場。そして、日本代表としてFIBA 3×3ワールドカップの舞台にも立った。中でもやはり、日本代表での経験は髙橋にとってこの上ない収穫だった。
「自チームだとやっぱり自分が中心になってプレーするというのが強いし、そうしないと周りも崩れちゃう部分があるんですけど、チームとしてのコンセプトが違う日本代表のバスケをさせてもらって、『こういうやり方もあるんだ』とか『こういうときは他の人に預けてもいいんだ』という新しい経験ができたのはすごくありがたいことだなって思います。世界の強豪国と試合できて、その中で勝ったり負けたりはあるんですけど、しっかり勝てた試合もあったというのは、個人として大きい経験だったと思います。それをチームに持ち帰ったときに、上手くいくこともあればいかないこともたくさんあるので、そこをもっとフィットさせていきたいです」