※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2017年5月末発行vol.9からの転載
「僕は今、危機感を持ってこの合宿に臨んでいます」――4月19日に行われた日本代表合宿で古川孝敏は開口一番そう語った。思えば同じ一言を2年前にも聞いた記憶がある。あれはリオデジャネイロオリンピック予選を兼ねたアジア選手権の開幕間近、出場メンバーの選考も大詰めを迎えたころだった。
初めて日本代表入りしたのは2011年。それ以来さまざまな国際大会に出場し、同時に多くの経験を積んできた。だが、トップ選手がしのぎを削るこのチームに『安泰な椅子』はない。今年も日の丸のユニフォームを勝ち取るために“危機感を持って臨む”古川に代表に懸ける思いを語ってもらった。
危機感を持つのはネガティブなことではない
確かに2年前の合宿でも「危機感がある」と言いました。覚えています。あのときは前の年の代表活動でも目立った活躍ができず、「もっと自分の存在価値をアピールできるようにならないと」という思いが強くありました。それは今も同じです。危機感は常にありますよ。だって僕と同じポジションには金丸(晃輔)、辻(直人)、比江島(慎)、(田中)大貴といった能力がある選手がいっぱいいるじゃないですか。若手で言えば馬場(雄大)なんかもどんどん伸びてきているし、うかうかしていられないという気持ちは当然あります。今年はケガで戦線離脱した期間がありましたから余計ですね。Bリーグ開幕早々、左足の激痛で歩けなくなって2ヶ月間コートに立てませんでした。『足底筋膜炎』というのは結構やっかいなケガで、どれぐらいで治るのかもよくわからず不安でした。そのケガで代表活動も出遅れてしまい、さらに危機感が増したというか。けど、危機感を持つことは決してネガティブなことではなく、現状を打破してもっと上を目指すという姿勢にも繋がります。ケガの不安が大きかった分、今はバスケットができることの喜びも大きくて気持ちが充実しています。リーグ戦の間にある合宿がきつくないと言えば嘘になりますが、それよりも僕はここでもらう刺激の方が大きいですね。絶対自分のプラスになる場所だと思っています。
持ち味を発揮してチームに貢献する
さっきも言いましたが、このポジションには能力が高い選手が揃いそれぞれ持ち味も違います。その中で自分の武器となるのは『アグレッシブさ』でしょうか。ルカコーチ(ルカ・パヴィチェヴィッチテクニカルアドバイザー)はチームが目指すものの一つに『INTENSITY』(激しさ)を挙げていますが、その部分で自分が貢献できるものは大きいと思うし、実際ルカコーチにも「そこはおまえのいいところだ」と言われています。だから、そこは譲れません。誰よりも泥臭く、激しくというのは常に意識しています。