記憶に残っているのが、レフェリングの話題である。ある記者が「簡単にレフェリーがファウルで止めない」ところに注目した。日本代表一行はフィジカルを課題に挙げたが、そのぶつかり合いこそがバスケの醍醐味であり、ゴール下の格闘技と言われる所以でもある。厳密に言えば、接触があった時点でファウルとなるのがバスケのルール。ゆえに、「日本のレフェリーはルールに則ったジャッジであり、本来は間違っていないのかもしれない。でも、バスケの醍醐味を消してしまっているのではないか」と比較しはじめる。フィジカルの差で倒れた場合は流しているようにも見え、フェイクファウルを取られるケースもあった。ワールドカップを通して垣間見られたことは、選手やレフェリーだけではなく我々も世界基準へと意識を高めて伝えなければならないと強く感じる。
そんなメディア陣の裏側をひとつ紹介したい。試合後のミックスゾーン(選手が通る取材エリア)は15分程度の短期決戦であり、多くの選手のコメントを抑えるのは不可能に近い。そんな中、テレビクルーは映像を、ペン記者たちも選手たちのコメントをそれぞれ共有し、メディア陣も日本一丸となって脆弱なネット環境の中でも多くの情報を届けようと努めていた。その光景や勝てずにもがいている日本代表の姿も含めて、日本バスケ界が新たなドアを開けたことを感じる楽しい日々だった。
この10年間で何度も中国に行く機会はあったが、今回はじめて生ビールを飲んだ。メディア仲間に紹介された上海の地ビール『ボクシング・キャット』、これが旨いっ。少し調べたところ、醸造長さんの名が“マイケル・ジョーダンさん”とはこれまた奇遇だ。今後もメディアの皆さんとバスケ話で盛り上がる日を楽しみにしつつ、都内で『ボクシング・キャット』が飲める場所を探してみよう。
文・写真 泉誠一