ワールドカップ奮戦録⑥

カップの先にあるもの

This is Basketball.

 

ミックスゾーンや記者会見でこの言葉を何度か耳にした。

 

私たちは勝ちたかった。

でも負けた。

これがバスケットボールだよ。

 

だいたいそんな文脈で語られることが多かった気がする。

中国でおこなわれていたワールドカップが終わった。

結果はスペインが2006年の日本大会以来の優勝。

準優勝はアルゼンチン。

ファイナルスコアは95-75だった。

 

東莞でクォーターファイナルを見た翌日、北京へと移動した。

空港までの移動や、飛行機の待ち時間とフライト、そこからさらに地下鉄で北京市内へ。

気づけば東莞のホテルを出発して12時間以上が過ぎていた。

代表チームは大会からチャーター機が用意されているそうだが、さほど大きな違いはないだろう。

移動だけでも体力は消耗する。

そのなかで選手たちはコンディションを高く保ちながら、大会を戦わなければならない。

それがワールドカップである。

 

北京に到着した翌日からファイナルフェーズが始まった。

まずはセミファイナル2試合がおこなわれ、その翌日に5位決定戦と7位決定戦の2試合。

最終日はファイナルと3位決定戦である。

北京では全6試合がおこなわれた。

 

セミファイナルの第1試合、スペインとオーストラリアはダブルオーバータイムまでもつれこんだ。

どちらからもファイナル進出を譲らない気持ちが十分に伝わってくる。

特にスペインのマルク・ガソルが、1つ目のオーバータイムの残り4秒、2点ビハインドの場面で打つことになったフリースローのときの表情は鬼気迫るものがあった。

天井に吊るされたビジョンを通じても、である。

その10秒前、自身がファウルを犯し、相手にフリースローを与え、2点ビハインドの原因を作ったことの責任もあったのだろう。

このときの表情は忘れられない。

 

ファイナルでもガソルがフリースローを打つシーンは何度かあった。

そのたびに表情が映されるのだが、準決勝で見せたような表情は最後まで見ることができなかった。

ファイナルへという強い思いと、そのファイナルでは序盤からリードを奪い、試合後のミックスゾーンでも笑顔で「ゲームを楽しもうとした」と語ったマインドセットの違いなのだろうか。

ふと、幼いころ、スポーツ好きの父に「トーナメントは準決勝が一番面白い」と言われたことを思い出した。

ワールドカップでも同じことが言えるのかもしれない。

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