平尾は現在37歳。選手の受け皿が増え、長く第一線でプレーする選手も多くなったとはいえ、この年齢までコートに立ち続けることは容易なことではない。実力があればこそキャリアも長くなるのだが、平尾は茨城が自身のキャリアを伸ばしてくれたと実感している。発展途上のクラブであったことが、平尾にとっては何よりのモチベーションになっていたのだ。

「正直なところを言いますと、僕はここまでプレーできるとは思ってなかったです。10年できればいいほうかなって感じでしたし、僕はロボッツに来なかったら早い段階でキャリアが終わってたと思います。ロボッツに来て、B1に昇格させるという目標ができて、B1に上がったら上がったでもっとチームを強くしなきゃいけないとか、いろんな目標設定ができた。だからこそ、自分自身は10年間ロボッツに在籍させてもらってるのかなと思います。もちろん、自分自身がコートの中で不甲斐ないときもありましたけど、このロボッツだけで10年バスケを続けられたのはファン・ブースターの方々をはじめ、いろんな人の支えがあってこの場所に立てたんだなって思ってます」
平尾の現役生活と日本バスケット界の急速な進歩は、歩調を合わせるかのように重なった。45クラブで始まったBリーグも今は55クラブとなり、平尾の故郷・徳島にも新たにクラブが誕生している。選手にとっては選択肢が増え、いつかは故郷に錦を飾る、最後は地元でキャリアを締めくくるというビジョンを持つ者もいるだろう。しかしながら、平尾に茨城を離れる意思はない。高校進学時に故郷を離れて22年。その歳月の中で、茨城ほど愛着を持った土地はなかった。

「正直、いろんなことは考えました。B.ONEやB.NEXTであれば、まだ結果を残せる自信はあります。ただ、僕はやっぱりロボッツで終わりたかった。家族のこととか、いろんな背景があって決めたことなので、もしオファーがあったとしても『すいません』って断ります(笑)。もちろん地元愛はありますけど、もう少しすれば徳島に住んでた時間を超えるので、どっちが地元かわからないくらいで(笑)。これからも、ロボッツのために頑張っていければと思います」
囲み取材を終えた後も、知人から花束を受け取ったり、写真に収まったりと引退の祝福を受けていたのは、平尾の人望がなせる業だろう。選手としての在籍10シーズンは、言うまでもなくクラブ史上最長。最後の試合から4日後には、プレーヤーズメンター兼クラブリレーションリーダーという役職への就任がリリースされた。誰もが認めるミスターロボッツは、これからもミスターロボッツであり続ける。

文 吉川哲彦
写真 鈴木真人











