※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2018年11月末発行vol.27からの転載です。FIBA女子アジアカップを日本代表が4連覇し、今週からは2019-20シーズンのWリーグがいよいよ開幕!ということで昨季フリーペーパーで「Wのキーパーソン」として紹介した4選手のインタビューをお届けします。
“ピュアシューター”と呼ばれるポジションは純粋、純朴、素直なほうがいいのだろうか──。
根本葉瑠乃は静岡の名門・常葉学園から三菱電機に入団する際、当時のヘッドコーチだった山下雄樹(現ゼネラルマネージャー)から「シューターとして使うから」と告げられた。それまではシューターというよりも、自分自身が得点を取らなければチームが負けてしまう、だから得点を取りにいくという意識のほうが強かった。3ポイントシュートはノーマークになったときに打つ程度だ。しかし何度か強化合宿に訪れ、試合も見に来てもらい、そのうえで入団を強く勧めてくれた山下前ヘッドコーチはシューターとして使うと言う。根本にためらいはなかった。
「そこからは、自分はシューターだ、それをものにしなければいけないんだって思うようになりました」
高校を卒業するまで、これといった憧れの選手はいなかった。それでも“シューター”という役割を与えられたからには、その極意に近づかなければならない。根本は三菱電機のシューター、宮元美智子さんの動きに目を向けた。どうすればあれほどきれいにシュートを決められるのか。当時アシスタントコーチだった古賀京子・現ヘッドコーチにも指導を受けた。
「センターに生かしてもらったり、チームメイトからの良いパスがあったりと、シュートは自分一人では打てないので、 宮元さんはよく『ここにパスして』ってガードに言っていました。また、古賀さんからはシュートを打つ前のディフェンスの振り切り方を学びました。それらは今も自分の中心にあって、これからも生かしていきたいと思っているところです」
チーム在籍5年目。今は自分がチームの中心選手の一人であるという自覚を持ち始めている。しかしもっと深く「チームになくてはならない存在になる」ために、根本葉瑠乃はその純度をさらに高めていく。
文・写真 三上太