勝負を決めた4つのプレー
2年連続日本一に立つディフェンディングチャンピオンの東京医療保健大学は、今シーズンの関東女子リーグ戦を全勝のままインカレ(第71回全日本大学バスケットボール選手権大会)に臨んできた。2連覇してきた経験ある4人の4年生(永田萌絵、平末明日香、岡田英里、藤本愛妃)が先発を担い、190cmのジョシュア テミトペ(高知中央高校)が新たに加わり、3連覇も確実視されていた。過去2年と比較しても、ケガ人なくインカレを迎えることができ、「だからこそ足元をすくわれないように、気を引き締めていました」と恩塚享監督が言うほど順調だった。
関東2位の白鷗大学と迎えた決勝戦。過去2年間、このカードは準決勝で対戦してきた。決勝で相まみえたのは3年前であり、そのときは白鷗大学が勝利している。3連覇を狙う東京医療保健大学と、3年ぶりの優勝を目指す白鷗大学の一戦は、最初の10分間が運命を分ける。
「試合の入りが全てでした」と敗因を挙げたのは、白鷗大学の佐藤智信監督だ。
「リバウンド勝負と分かっていたのに前半はそこを支配され、ファウルを取られて悪循環になってしまいました。リバウンドが獲れないから、自分たちの持ち味であるトランジションが出せない。そこは相手もアジャストしてきました」
第1クォーターを終え、18-6と立ち上がりから東京医療保健大学が12点リードを奪う。ファウルが重なり、フリースローだけで5失点。白鷗大学も積極的にゴールを狙って行ったが、シュートが入らない。相手のディフェンスの強度ではなく「リズムがつかめなかったです」という佐藤監督は、これまで好調だった今村優花(東海大福岡高校)を「少し引っ張りすぎた」と悔やむ。東京医療保健大学にスカウティングされ、止められてしまったことでオフェンスが停滞してしまい、序盤から得点が伸びずに先手を取られてしまった。
前半は36-23、13点をリードする東京医療保健大学に対し、後半からアジャストした白鷗大学が少しずつ追い上げを見せる。第4クォーター早々、軸丸ひかる(聖カタリナ女子高校)とシラ ソハナ・ファトージャ(開志国際高校)の連続得点で、54-49と白鷗大学が5点差まで詰めた。しかし、そこから一気に東京医療保健大学が突き放す。
「リズムをつかめそうなときにターンオーバーからレイアップシュートを2回、岡田選手に3Pシュートを2本決められ、この4つのプレーで勝負が決まってしまいました」(佐藤監督)
白鷗大学は第1クォーターにリードされた12点差を埋めることができず、72-60で東京医療保健大学が勝利し、3連覇=3ピートを達成した。