「だいたい20位前後に入るとFIBAからオファーが来ます」というBREX.EXEは、現在世界ランキング18位。ジェッダ大会で4位になったことで、一気に6ランクアップした。今年は3度招待され、11位(ローザンヌ)→8位(南京)→4位(ジェッダ)と着実に結果を残していった。しかし、8月にはじめて臨んだローザンヌ大会では「日本人には戦えないのかなぁ、と思うほど衝撃的な強さだった」と圧倒される。BREX.EXEは眞庭城聖、小林大祐(ともに茨城ロボッツ)、長谷川武(越谷アルファーズ)らBリーガーとともに、ドゥサン・ポポビッチとマルコ・ミラコビッチのセルビア人で構成される。25歳と若いポポビッチだが、世界ランキング1位のセルビアだけに、その経験は豊富だ。
「最初は相手がどのようなプレーをするのかが分からない状況でしたが、ドゥサンは相手のことをよく知っていました。その情報を共有してくれたことが大きかったです。そのおかげで、ある程度は準備して臨むことができていました」
ローザンヌ大会では1勝もできない悔しい結果だったが、自分たちのスタイルを見つめ直す機会にもなった。国内では直線的な攻撃でも通用していたが、世界では歯が立たないことを痛感する。「ローザンヌで負けてから少しプレーを変えました。そこから一気に世界に対応できるようになりました。あの負けは大きかったです」と時間をかけて相手を崩すスタイルに変えたことで光明が差す。
続く南京大会では1勝を挙げたとともに、ワールドツアー・ファイナルを制した世界No.1のNovi Sadにも22-15と食らいついていけた。ジェッダ大会では世界6位のSakiaiに15-13で金星を挙げる。準決勝では世界3位のRigaに16-20で敗れたが、得るものの方が大きかった。
「本当に経験値さえ積むことができれば、日本人でも対等に戦えます。その自信がつきましたし、とにかく世界と戦う経験をしたことがなによりも一番の成長につながりました」と3×3に対する意識も変わった。当初は「1試合でも勝てれば良い」という心構えだったが、予選ラウンドを突破して「ベスト8に入るのが当たり前」と強気に臨んだことで、結果が伴いはじめている。
オリンピックへの出場は決まったが、実際にその舞台に立つ4人の日本代表争いはこれからが本番だ。Bリーガーがライバルとなるが、3×3に専念するパイオニアたちも負けてはいられない。今週末11月9日・10日に大阪TWIN21で開催される「JAPAN TOUR EXTREME」を皮切りに、国内大会に参戦しながらオリンピックへ向けて準備していく。
齊藤……と書くことすら歯がゆい“YOSK”は、3人制の先駆けとなったプロストリートボールリーグLEGENDで活躍していた。10年ほど前の話である。当時はチャラ男キャラのシューターとして名を馳せていた。今では愛息を抱いてインタビューを受けてくれたことに年月を感じるが、バスケに対して真摯に向き合う姿勢や情熱は今も昔も変わらない。そのプロフィールやYOSKの思いはオフィシャルサイト(http://yosuke-saito.com/)をぜひ見ていただきたい。
3×3のパイオニアたちに感謝(後編)
UTSUNOMIYA BREX.EXE / 茨城ロボッツ 眞庭城聖
文・写真 泉誠一
写真 FIBA