── オリンピックの新しい種目となったことで注目度が上がったことは間違いないですし、これからは日本のバスケットボール界における3×3の位置付けも変わっていくかもしれません。まずはもっともっとたくさんの人に3×3のおもしろさ、楽しさを知ってほしいですね。
落合 そう思います。僕が3×3を始めたころは雨の中コンクリートの上でやることもありました。今から思えば劣悪な環境だったんですが、それでもなんでやってこれたかというと、日本を代表して海外に出るというのが人生初めての経験だったからです。U24の代表候補とか選抜メンバーとかはありましたけど、国を背負って海外に出るというのは初めてで、責任と同時にやりがいを感じました。こんな楽しいことがあるんだって思ったんですね。当時からオリンピック種目を目指しているとは聞いていましたが、自分の中では半信半疑だったので、決まったと聞いたときはホッとしたし、よし、もっとやってやるぞー!という気持ちになりました。
小松 僕も落合と同じで、バスケ選手として海外で戦えるのは自分の中でとても大きなことでした。正式にオリンピック種目になったときはホッとしましたが、自分が(オリンピックに)行けるかどうかなんてことは考えてないです。今でもヤバいヤバいと思ってるぐらいなので、そこは落合とは違うところです(笑)。でも、なんていうか僕はサラリーマンで家庭もあって、これからも働いていくわけですけど、その中でも仕事以外に自分の引き出しを増やしていきたいとか、自分の価値を高めていきたいという気持ちがあって、そういう意味ではバスケは自分にとって不可欠なんですね。やる以上は納得てきるまでやりたいし、その楽しさ、おもしろさをたくさんの人に知ってほしいと常に思っています。
── 最後に3×3に懸けるそれぞれの意気込みを聞かせてください。
小松 試合に関しては内容も大事ですが、やっぱり結果を求めていきたいです。具体的に言うとchallengerならベスト4以上をあたりまえにする。欲を言えば2位以上ですね。world tourも同じく目標はベスト4以上。最終的にそれがオリンピックを含めた今後の活動に大きく影響すると思っているので。もちろん今は負けることも多くて、かなり衝突もしますが、その中で次に何をしなくてはいけないか考えることで少しずついい方向に向かっていると感じています。個人的には僕はチームの中心選手ではありませんが、僕の得点、リバウンド、球際のプレーで周りを助けられるようになりたい。課題を挙げたらきりがないですけど、まずはしっかり自分の役割を果たすこと。頼りがいがある黒子を目指します。
落合 僕も小松と同じで結果にこだわりたいですね。これから毎週末ごとに試合があり、大会の規模は様々ですが、その1つひとつに結果を出すことを目標にしています。自分のスキルアップやチームのランキングにつなげるためにもまずは勝つこと。いくら準備していっても勝たなきゃ意味がないと思っています。もちろん東京オリンピックは意識してますし、そのためにも今は国内、海外の試合を通してたくさん経験を積むことが大事。そこで得たものを日本代表に持っていきたいですね。だけど、目指すのは東京オリンピックだけじゃなくて、僕には3×3をもっともっと広げていくという使命感があります。自分が経験してきたことを伝えていくことはオリンピックがあろうとなかろうと変わらない。なんですかね、自分はオリンピックの先を見据えているんだよって言ったら、ちょっとかっこよすぎですかね(笑)
part1「最初はストリートバスケを舐めてました(落合)」
part2「3×3はバスケの“職人”には向いてないかもしれません(小松)」
文 松原貴実
写真 沼田侑悟