先週10月14日、韓国での3×3大会で優勝したREXAKTが帰国し、ふたたび女子3×3バスケットボールトーナメント「3W(トリプルダブル)」に戻って来た。10月20日(土)に昭和記念公園内肉フェス会場で行われた第3戦は8チームが出場。芝生の上に敷いたコートは波を打ち、ドリブルが弾まない箇所があったり、強風にボールが流されたりもしたが、そんな環境にもアジャストしながら勝ち進んで行ったREXAKTとSIMONが決勝進出。18-9でREXAKTが制し、開幕戦に続いて2度目のチャンピオンに輝いた。
主催者であり、REXAKTの一員として「3W」開幕戦と韓国での3×3大会の優勝に貢献した矢野良子選手だったが、この第3戦はコンディションを考慮し、ひと休み。運営スタッフとして働いていた。「もう2年しかないから、突っ走っていきますよ」と次戦11月10日(土) 渋谷ストリームには帰ってくる。11月17日(土) ダイバーシティ東京での第5戦までしかスケジュールは発表されていないが、首都圏12大会開催を目指して絶賛交渉中であり、矢野選手は大忙しだ。
『もう辞めようかなって思うほどきつかった』
優勝したREXAKTの石川麻衣選手、名木洋子選手(ともに元富士通レッドウェーブ)と前田有香選手(元アイシンAWウィングス)は元Wリーグ選手であり、今年4月のFIBA 3×3 アジアカップに出場した女子日本代表たち。今春の時点ではルールさえおぼつかなかった名木選手だが、「3×3に慣れてきましたし、プレースタイルも確立してきました」と自信を見せた。
個人のスポーツと言われる3×3だが、突き詰めていくと息の合ったチームプレーが欠かせない。女子日本代表をはじめ、3人一緒に多くの試合を重ねてきたからこそ「それぞれの良いところが分かり、そこを生かせるようになってきました。3×3でもチームプレーがすごく大事だとあらためて感じています」。5人制バスケで培ったコンビネーションプレーを発揮し、好転しはじめている。
今夏行われた女子プロリーグ3×3.EXE PREMIERでは「最初はぜんぜん勝てず、すごく辛かったです」という時期が響き、3位に終わった。「本当に悔しかったですし、もう辞めようかなって思うほどきつかったです」と言うのも、3×3にのめり込んでいる証拠だ。その悔しさを乗り越え、「チームが噛み合うようになったことで楽しいと思えるようになりましたし、今があると思っています」。
日本一になったときと同じ『あぁ、これだっていう感じ』
2020年東京オリンピック出場を目指し、矢野選手が自ら作った「3W」。同じチームとして活動する名木選手は、「リョウさん(矢野選手)の話を聞いているとメッチャメチャ気持ちが強くて、一緒にやってきたときのことをすごく思い出します」とWリーグ富士通レッドウェーブでともに戦っていた感覚を呼び覚ましていた。
2008年、大学を卒業して富士通に入団したばかりの名木選手は、いきなりオールジャパンとリーグ戦を制している。一緒に日本一になった「リョウさんとまた一緒にプレーできていることがすごく楽しいです」。そして、あの頃と同じプレーができはじめている。
「ここに走ればパスを出してくれますし、ここにボールを入れておけば全部シュートを決めてくれる。あぁ、これだっていう感じをすごく思い出しています」
では、名木選手自身もオリンピック出場へ向け、矢野選手と同じような情熱を持ち始めているのだろうか?
「どうなるかは全然分からないけど、やるんだったらチームで出たい!」
『チームで日本一を決めるのが一番おもしろいんじゃないかなぁ』
FIBA 3×3 U23ワールドカップで世界2位となった女子日本代表に対し、「見ていてすごいなって思いました。(馬瓜)ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス)とか本当にすごいじゃないですか」と名木選手はその活躍に驚く。そして、Wリーグの選手たちが本気で取り組めば、3×3がさらに強くなることも知っている。だからこそ「対戦してみたい」と目を輝かせ、3×3のリーグを作って強化しているチームとの直接対決を要望していた。「Wリーグの選手やいろんな人が出てきて、チームで日本一を決めるのが一番おもしろいんじゃないかなぁ」と白黒ハッキリさせる場は、確かに見てみたい。
今後、3×3日本代表がどうやって選出されるかは分からない。5人制バスケ以上に速い展開の中で、チームケミストリーを高めていくには時間を要する部分も否めない。ならば、カーリングのように日本代表選考大会を設け、日本一になったチームが出場するのもひとつのアイディアだろう。また、個人登録によって反映されるFIBAランキングを重要視する方法もある。この「3W」もランキング対象大会であり、勝ち進めば上位に食い込むことも可能だ。現在のランキングを見れば、男子はトップ10のうち上位7名をセルビア人が占めている。女子も同じようにトップ10内はフランス人と中国人しかいない。大会に出場しながら強化を図ることが手っ取り早い。
新種目であり、早い段階で選考方法がハッキリすれば、3×3に本気で取り組む選手も増え、さらなる盛り上がりも期待できる。BリーグやWリーグでプレーしながら、3×3を狙っている選手もいるかもしれない。オリンピックの出場数や開催国枠の扱いさえハッキリしていない状況だが、覚悟を持ってそれぞれの舞台で活躍する選手たちのためにも、進むべき道を早く決めて欲しいものだ。
今後のスケジュール
11月10日(土) 渋谷ストリーム
11月17日(土) ダイバーシティ東京
3W -3×3 Women’s Basketball Games-
文・写真 泉 誠一