考えることはみんな一緒だな。そう思わせるワールドカップの初戦だった。
8月31日に中国で開幕したバスケットボールのワールドカップ。男子日本代表は9月1日に初戦を戦い、トルコ代表に67-86で敗れた。
その数週間前、たまたま手に取ったスポーツライター、故・山際淳司の文庫をめくっていると「ようこそワールドカップへ」というタイトルの話が掲載されていた。彼が書いた「ワールドカップ」とはサッカーのワールドカップであり、日本代表がいわゆる「ドーハの悲劇」で敗れたことに触れている。残り数分(数秒?)で同点に追いつかれ、ワールドカップ・アメリカ大会への出場権獲得を逃したとヨーロッパの人に告げると、彼らは「ようこそワールドカップへ」と言った、という話だ。日本よりも早くサッカーへの関心を強く持っていた彼らからすると「それがワールドカップだよ」と言うわけだ。
むろんサッカーとバスケットを同様に考えてはいけないだろう。競技性の違いもある。たった1つのシュートが勝敗を分けるサッカーと、得点シーンが多く、その差がどんどん離れることもあるバスケットを同じ天秤で測れない。
しかしトルコ戦を見たときにまず頭に浮かぶのは「これがワールドカップだよ」、「これが世界レベルだよ」というフレーズだった。そして「バスケット・カウント」によるとニック・ファジーカスはトルコ戦後のミックスゾーン――記者が取材を許可されているエリア――で「ようこそワールドカップへ」と言ったそうだし、世界のバスケットに精通している青木崇氏もそうしたタイトルのコラムを書くとプレスルームで語っていた。初めてではないにせよ、13年ぶりの出場となるワールドカップの、いや、自力で出場権を獲得したという意味では21年ぶりとなる大会の初戦ではみんな、そのフレーズを使いたがるのかもしれない。
トルコ戦の敗因の1つは第1クォーターにあった。日本代表を率いるフリオ・ラマスヘッドコーチも「第1クォーターが悪かった」と認めている。
「相手のディフェンスはフィジカルコンタクトが多く、我々にとってやりにくい時間帯が多かった。その結果バッドショットが多くなってしまって、リバウンドを取って走られてしまった印象です。またそこで相手が大きくリードをした分、ゲームコントロールを握られてしまって、なかなかリズムを作れない状態が最初に起こってしまいました」