翌日。
朝一番で体重計に乗ってみると、76.5kgを示す。
順調だ。
そもそもオフ期間中に増えたという事実がないなかでのクレンズなので、むしろ減りすぎだ。
これは逆にもう少し増やす必要がある。
まあなんとか無事に断食も終わったし、これからゆっくり戻していけばいいかと思っていたが、クレンズの本当の山場はここからだった。
断食した直後に胃腸の負担を大きくすると逆に不調をきたすため、翌日は回復食を取らなければならないらしい。
朝はスムージー、昼はおかゆ。
おかゆて。
腹減ってんのにおかゆて。
寝て起きた直後は空腹感ゼロだったけど、なんか食べれば食べるほど腹減ってきたわ。
さすがに哀れに思ったのか、有識者(妻)が見るに見かねて夕飯に胃腸に優しそうなものを多めに作ってくれたけど、どんだけ食っても腹減るし。
明日か。
明日ならいいんやな。
めっちゃ食うから、明日。
はよ寝よ。
その翌日、我を忘れた僕は満を持して家を飛び出し、そのとき一番食べたかったものをテイクアウトした。
カレーだった。
めちゃくちゃうまかった。
味覚が研ぎ澄まされてとにかく大勝利した。
でもまだ満たされなかったので、中華店に行って持ち帰りはしごした。
なに食べたかはもう覚えてない。
二連勝したことだけは覚えてる。
これが昼で、夜もめっちゃ食べた。
それでも満腹中枢はまだ正常に機能していないようだったが、なんとか心は落ち着きを取り戻してきた。
十分な栄養を得て、本来の僕が帰ってきたのだ。
思えば長い道のりだったが、ついにやり遂げたのだ。
クレンズを乗り越え、フラグも正しく回収して、さらには二連勝まであげた僕はとても気分が良かった。
心も体も軽く、これでようやく枕を高くして眠ることができる。
ちょっとまだお腹は空いてるような気はするけど。
さらに次の日。
前日は正気を失って体重を測ることを忘れていたので、改めてクレンズの成果を確かめてみることにした。
断食直後は76.5kgだったけど、ちょっと暴走しちゃったから77kgくらいかな。
まあでもあんなに頑張ったんだからもしかしたらもっと減っちゃってるかも。
76kg切ってるとか。
こりゃ戻すの大変だ。
明日からまたしっかり食べなきゃ!
心を弾ませながら体重計に乗ってみると、
「78.0kg」
うちの子はゲームばっかりやってるし食が細くて…とお悩みのお母さん。
クレンズがお子さんの食欲を増進させるかもしれませんよ。(個人の感想です)
今回の引用元:『幼女戦記』/カルロ・ゼン原作、上村泰監督/KADOKAWA メディアファクトリー 2017
石崎巧
1984年生まれ/北陸高校→東海大学→東芝→島根→BVケムニッツ99(ドイツ2部リーグ)→MHPリーゼンルートヴィヒスブルグ(ドイツ1部リーグ)→名古屋→琉球/188cmのベテランガード。広い視野と冷静なゲームコントロールには定評がある。
著者近影は本人による自画像。