今シーズン開幕前、サンロッカーズ渋谷の大黒柱とも言われたロバート・サクレの現役引退というニュースが飛び込んできた。2015-16シーズンまでロサンゼルス・レイカーズでプレーしたサクレがSR渋谷に入団したのはその翌年のこと。バリバリの元NBA選手がやってくる!ということで日本のバスケ界がざわついた記憶がある。それだけにサクレを欠いた戦力に懸念を抱く向きもあったが、蓋を開ければ新加入のセバスチャン・サイズ、チャールズ・ジャクソン、さらに2年目のライアン・ケリーがサクレの穴を埋めて余りある活躍を見せた。3人の特徴をざっくり分けると、アクティブなサイズ、パワフルなジャクソン、クレバーなケリーといったところだが、それぞれに持ち味を存分に発揮。中でも新加入の2人を練習から心技でリードしたケリーの存在は大きかったと言えるだろう。名門デューク大出身、2013年~2016年まで在籍したロサンゼルス・レイカーズではチームメイトとして故コービー・ブライアントの名も挙がる。211cmの高さを生かしたインサイドから3ポイントシュートまでプレーの幅は広いが、なんといっても最大の魅力は高いバスケIQに裏打ちされた安定感だろう。3人の外国籍選手がローテーションを組んだ今シーズンは29試合の出場だったため部門別ランキングの上位に名前はなかったものの、平均22.4点、リバウンド7.4 、アシスト3.8、スティール1.3、ブロック1.2というスタッツからは貢献度の高さがうかがえる。得点面では京都ハンナリーズ戦(11月16日)の39得点を筆頭に30点オーバーを3試合記録しているが、場面に応じて周りを生かすプレーにも長けており、シュートタッチが今一つだった天皇杯ではリバウンドに身体を張り、絶妙なアシストで貢献する姿が印象的だった。
各地区のベスト5に選出された選手を除き、今回の最優秀外国籍賞候補には、ディヴィッド・サイモン(京都ハンナリーズ)、レオ・ライオンズ(富山グラウジーズ)、マーキース・カミングス(レバンガ北海道)などの名前が挙がったが、SR渋谷の今季の快進撃を支えたケリーを評価する声は高く、満場一致の選出となったことを追記しておく。
文 松原貴実
写真 三上太