part2「進化する“ピュアシューター”へ」より続く
シューターの10分の1、コンバートの1分の1
3ポイントシュートが重要な意味を持つ現代のバスケットでは、一方でシューターへのディフェンスも厳しくなってきている。そうしたなかで京都ハンナリーズの松井啓十郎はシューターとしての新境地を切り開こうと試行錯誤を繰り返している。
そんな松井を傍目に見ながら、永吉佑也もまた3番ポジションにコンバートし、3ポイントシュートを身につけようと懸命に努力を重ねている。
対談の第3話は「確率」について。現代に生きる優れたシューターとはどれくらいの確率で決める選手なのだろうか───。
── 3ポイントシュートの価値が大きくなる一方で、マークも厳しくなっています。何割くらいの確率で入れると優れたシューターだと言えますか?
松井 僕は4割を超えたらうまいなって思います。そのうえで毎年43%を超えて、40%台後半に行く選手は本当にいいシューターなんだなぁって思います。
── 永吉選手はリバウンドなど泥臭い部分も頑張れる選手だけど、その永吉選手から見て「いいシューター」ってどんな選手ですか?
永吉 迷わず打ってくれるシューターのほうがやりやすいですよね。僕がこれまで一緒にやってきたシューターと呼ばれる選手たちは、打てば入る選手たちばかりでした。よく炎さん(浜口炎ヘッドコーチ)の話にも出てくるんですけど、シューターが打つことって、たとえ外れたとしても、記録に残らない「プラス1点」が積み重なっていて、最終的にその日のトータルの得点になると考えています。たとえばKJが打てば、結果として入らなくても僕の中ではゴールだと思っています。僕としてはシューターにそういうところを求めたいし、それが結果的にもどんどん入ってくるようになれば、僕も「ごっつぁんです」じゃないけど、おいしいところをもらえるところが出てくる(笑)。そうやって5人でバスケットをやっているので、シューターには迷わず打ってほしいですね。
松井 ポイント・パー・ポゼッション(Point per possession)の話だよね。3ポイントシュートの確率が4割の選手であれば、1本打てば1.2点分の価値があるという計算。そういう意味で炎さんも1点って言っているんだと思います。
永吉 それ! それが言いたかったんです。さすがだ……そういう頭の回転の速さがKJの、3ポイントシュートの次に強いところ(笑)!