── では、逆に橋本さんはどうでしょう。ずっとレバンガを牽引してきた多嶋選手の存在について思うところはありましたか?
橋本 自分が誘われたときにパッと浮かんだのは朝飛のことで「いいのかな」「うまくやれるのかな」と思うところはありました。朝飛はこれまでレバンガの歴史を作ってきた選手だし、そこに同い年で同じガードの自分が入ることはどんな気持ちなんだろうとか、やっぱり考えちゃいましたね。朝飛の気持ちは今、初めて知りました(笑)
── すっきりしましたね(笑)
橋本 そうですね(笑)。でも、別に今までもわだかまりとかそういうのがあったわけでは全然ないんですよ。僕はいい意味でレバンガを変えたいと思って移籍しましたが、自分が入ったからといっていきなりチームが大きく変わるわけじゃありません。そんなのあたりまえ。大きな変化は1つひとつの積み重ねの先にあります。まずはそれを率先してやる存在になること。レバンガが持っている可能性を大きくするために朝飛と手を取り合ってやっていきたいと思っています。
多嶋 それは僕もまったく同じですね。
── 橋本選手が入ったことでチームが変わってきたなと感じるところはありますか?
多嶋 チームが、というよりまず自分が楽になりました。うちには折茂さん、桜井(良太)さんなど豊富なキャリアを持つベテラン選手がいますが、どちらかというと若手にガンガン言うタイプじゃありません。僕自身もそう。去年もキャプテンをやらせてもらっていましたが、コーチが求めていることと自分が思ったことにズレはないかとか、自分がこういうことを言ってしまっていいのかとか、そういうことをいろいろ考えると、なんと言うか、チームのバランスを取るのが難しくなって、自分としては悩むことが多いシーズンでした。でも、竜馬は思ったことを自分からパッパッと言ってくれて…
── レバンガに入ったばっかりなのに?
多嶋 ハハハハ(笑)。竜馬はそういうタイプなので。
── コミュニケーション能力が高いですよね。
多嶋 そうそう、だれとでもちゃんとコミュニケーションを取ってくれる。キャプテンの桜井さんも全体をしっかり見てくれてますから、僕は必要以上に複雑なことをあれこれ考えなくてすむようになりました。
橋本 ほんとに?
多嶋 ほんとに(笑)
── 先ほど見学した練習からもチームの雰囲気の良さが伝わってきました。
多嶋 新しく入った(マーキース)カミングス、(ケネディ)ミークス、パプ(ファイ パプ月瑠)も含めてチームのコミュニケーションが取れているし、自分たちが目指すものに向かって行くためのスタンダードが上がってきているなと感じています。
── それも“竜馬効果”の1つでしょうか?
多嶋 でしょうね。
橋本 おお、朝飛にそう言ってもらえて嬉しい。とりあえず嬉しいわ(笑)
part2「順風満帆に見えたとしても壁のない選手はいない」に続く
文 松原貴実
写真 安井麻実