B2時代、現在の上原和人代表体制となってから毎年7月にビジョン発表会見を実施している越谷アルファーズは、今年も7月9日に同会見を行った。例年、この会見には新加入の日本人選手も同席するが、今シーズンの該当者は菅原暉1人。ただ、今回は新たな指揮官として森高大ヘッドコーチも会見に出席している。
クラブ公式YouTubeでは会見の模様に加え、バスケットボールコメンテーター・井口基史氏による単独インタビューも早々に公開されているが、その中にもあった通り、森HCは夫人の出身地でもある埼玉県の在住だ。昨シーズンまで率いたベルテックス静岡では単身赴任だったため、「家に帰って来れるというのは、決断としては大きかった」とのことだが、埼玉県民ということで、越谷のクラブとしての発展も身近に感じることができていたようだ。

「成長著しいチームだなと思って見てました。埼玉に住んでいる間に外から眺めていると、どんどんプレゼンスが大きくなっていってるなというのを感じてましたし、埼玉ってアルファーズが上がってくるまではバスケットボールがそこまで盛り上がってない地域という印象が正直あって、その中で過去2年間B1で戦ってきたアルファーズはすごく成長のあるクラブだなと思います」
森HCは静岡の前にアルバルク東京でアシスタントコーチを務めているが、当時の越谷はまだB2。越谷がB1に昇格すると、森HCは入れ替わるようにB2の静岡に移籍した。したがってリーグ戦で越谷との対戦はなかったが、ゲームスケジュールが異なったことで越谷のホームゲームを訪れるチャンスはあった。静岡のホームゲームの熱気を2シーズン体感してきた一方で、「3、4年前に見に来たときの越谷総合と、昨シーズン見に来たときで雰囲気が全然違いましたし、そもそもお客さんの数が全然違う。今は地域として盛り上がってきてるし、ファンベースもすごく大きくなってきてるなと感じます」と越谷のバスケット熱の高まりを実際に目の当たりにしてもいるのだ。
「静岡の場合はMCが特徴で、お客さんを上手く煽ってるというところが多大にあったんですけど、埼玉の皆さんは浦和レッズがあって、スポーツを見慣れてる方も結構多いと思うので、そこは静岡と似通ってるのかなと思います。僕は香川出身なんですけど、香川はあまりそういうのがない。埼玉はスポーツを見る文化が育ってる土地だから、かなり高い熱量で応援してくださってるのかなという感じがします」
アルファメイト(越谷のファン)の大きな特徴は、クラブの公式アパレルを着用した状態で試合会場に現れ、試合が終わればその姿のまま帰路に着く人が非常に多いという点。我が街のクラブを応援していることが、ファンにとっての誇りになっているのだ。森HCも「そういう光景はどんどん増えていってほしい」と思い、「そのためには勝っていくことが必要。僕らはそこで貢献して、フロントはまた別の形で頑張っていただいて、一体となって大きい輪を作っていけたら」とチーム強化への強い意志を示す。

ところで、森HCが東京大の出身であることは、バスケットファンの間ではつとに知られている。東大卒ともなれば、国家公務員や一流企業への道が開けているもの。それが何故バスケット界に? と思ってしまうところだが、実は森HCは自身のバスケット選手としての人生を基準に東大を選んだという経緯がある。東大に入ったついでにバスケット、ではなくバスケットに打ち込む手段として東大が存在したのだ。
「当時は東大が関東学生リーグの3部で、国立の中では筑波大に次いで2番目に強い大学だったというのがありました。筑波の柔道部だった父親の教えが結構強くて、優秀な選手が関東に集まる中、切磋琢磨して自分のレベルを上げようと思ったらそこが一番行くべき場所ということだったんです。自分が行けるマックスの所まで行って、納得できる形で受験を終わらせたいと思っていたんです。早稲田や慶応あたりにスタッフで入るのではなく、選手として頑張りたいと思っていたので、東大に行って良かったと思いますし、東大でも試合に出ることは難しくて、良い意味で挫折もして、今につながる経験になったと思ってます。選手としてチャレンジしたからこそそういう挫折もあって、ここまでバスケットを追求するバイタリティーを逆にもらったかなって」











