開幕週GAME2でアイシンを破り、Wプレミア初勝利を挙げた際はその後への期待も感じさせたものの、第2週からリーグ戦19連敗という長いトンネルに突入。22勝3敗という成績でWフューチャー初代女王となった地力をもってしても、東京羽田ヴィッキーズにとってWプレミアの壁は厚く、わずか1シーズンでWフューチャーに戻ることとなった。
前シーズンの手応えからか、東京羽田は戦力補強も最小限にとどめていた。最もインパクトのあった補強は選手ではなく、コーチングスタッフのほうだったと言っていいだろう。筑波西中、土浦日大高、日本大でいずれも全国制覇を経験し、日本初のプロバスケットボールクラブである新潟アルビレックスの初代メンバーとしても活躍した実績を持つ平岡富士貴アソシエイトコーチは、引退後に3クラブのヘッドコーチを歴任。2022-23シーズン半ばに古巣・新潟のHCを実質的に解任されて以降は第一線から遠ざかり、自身が新潟で設立して全国大会常連にもなっているユースのクラブチーム・ボンバーズの指導に専念していた。プロの世界では男子一筋だった平岡ACがWリーグでコーチ職に就いたことはファンを驚かせたが、これは冨田里利GMとの縁によるものだった。

「僕が茨城ロボッツのHCをやってたときに、冨田さんの旦那さんがロボッツを熱心に応援してくれてて、お世話になってたんですよ。去年も冨田さんからはチラッとお話をいただいたんですけど、当時の状況を考えるとボンバーズを投げ出すような形になってしまうと思って、そのときはお断りしたんです。でも1年経ってまたお話をいただいて、ここまで声をかけていただいたらさすがにと思って引き受けました。冨田さんは『平岡さんのコーチングは萩原さんにとっても絶対に良いから』と仰ってくださいましたし、萩原(美樹子HC)さんと面談したときも『私にない考え方で面白い』と言っていただけて、ヴィッキーズには感謝しかないですね」
平岡ACは新潟HC時代にも23連敗という当時のB1記録の当事者となってしまったことがあるが、HCという立場でなくとも、黒星が続く状況が苦しいものであることに変わりはない。東京羽田の19連敗の中で18連敗目にあたる12月20日のデンソー戦の後、チームの現状について話を聞くことができた。
「まだチーム自体のマンパワーがなくて、エネルギーを持って戦えるのが毎週2ゲームのどちらかだけという状況で、そのゲームも勝ちきれないのがもどかしいですね。選手は一生懸命練習してるんで、なんとか1試合でも勝ちゲームをと思いながらワークアウトとかスタッフミーティングもしてるんですけど、足りないものはたくさんあるし、現時点ではレベルの差を痛感してます」
この試合は第1クォーターが6-22、第2クォーターが10-21と前半に大きなビハインドを背負ってしまったことが響いたが、第3クォーターは20-8と盛り返すこともできた。バスケットはこういったアップダウンがつきものである一方、ハビット(習慣)スポーツであることが大前提にある。選手同士の仲の良さが特徴であるはずの東京羽田も、平岡ACには練習の段階からチームの一体感が不十分なように感じられていた。

「今日の第3クォーターみたいに、出る選手がエナジーを持ってプレーしてくれると、きっと前半のような差はなくなってくるのかなと思うんですけど、正直今日の第3クォーターくらいの強度でやった練習はたぶん一度もない。ヴィッキーズを見てると、できないけどやろうとする選手もいれば、我関せずの雰囲気を出してしまう選手もいるというのを練習でも試合でも感じることがあるんですよ。それがすごくもったいない。チームは勝つのも一緒だし、負けるのも一緒。言い方は悪いけど怒られるのも一緒だし、褒められるのもみんな一緒。当事者意識を持つと変わってくるんじゃないかという話は萩原さんともしてて、萩原さんも斎藤卓(アナリスト)さんも選手のことを思って熱心に指導してるんですけど、チームが一つになりきれないのがたまに見えちゃうんですよね」











