「男子は試合に負けると結構ゲッソリしちゃうけど、女子は帰る前にもうその日のごはんの話をしてたり(笑)、良い意味で切り替えは上手なのかなと思います。笑顔でコート1周もしてるし、それはヴィッキーズの歴史がそうさせてるのかもしれない。普通は、これだけ負けてたら日に日にお客さんが減るのに、逆に増えてる気がするし、選手がファンの方を大事にしてるというのは、普段見てても伝わってきますね。僕もこの辺りをウロウロしてて、声をかけられないようにはしてますけど(笑)、それでもたまに『あっ』って気づかれることがある。大田区で地道に積み上げてきたものが、たぶんまだまだ花も開いてないと思うんです。もっとすごいポテンシャルを持ってるんじゃないかなって」

平岡AC自身、初めてWリーグの世界に飛び込んだことで、コーチとして多くの学びを得ることができた。そこには戦術やスキルといったバスケットそのものに関わることだけでなく、選手との向き合い方も含まれる。
「ハッキリ言うと男子のほうが迫力とかスピードとか、女子にないものはたくさんありますけど、女子には繊細さ、細かさがプロセスの中にすごく含まれてるから、それはめちゃくちゃ勉強になってるし、新しい発見ばかりで吸収することがたくさんあって、非常に充実してます。女子の世界に入って、最初はつらいことも多かったですけど、終盤になってくると女子もなかなか面白いなって思うようになりました。落とし込み方一つとっても、それで選手の顔色が変わったり、プレーにも影響が出ちゃったりするので、こちらが些細なことにも気を遣って声かけをしていかないといけない。誰かが髪の毛を切っても一切気づかなかった自分が、気づくようになりましたよ(笑)。『切ってどうだったか言ってもらいたいんだけど?』とか『染めてきたのわからないんですか』って言われて、そういうところも大事にしないと女子を見ることはできないんだなって気づかされましたね」
ちなみに平岡ACは、松本新湖のような若手を除いて基本的には “さん” 付けで選手を呼んでいるとのこと。逆に選手たちからも “ボンさん” と呼ばれ、冨田GMによれば全幅の信頼を寄せられているそうだ。

12月28日のトヨタ紡織戦の勝利で連敗は止まったものの、年明けの皇后杯ではそのトヨタ紡織にリベンジされ、その後のリーグ戦も黒星続き。シーズン最終週のシャンソン化粧品とのGAME1に敗れて5連敗となったが、GAME2はシーズン最多の94得点を叩き出し、24点差をつけての圧勝だった。大田区総合体育館でシーズン最終戦を迎えるのは4年連続で、その4試合は全て勝利していることを付け加えておこう。
「結果はついてきてないですけど、このチームはみんな下を向かないし、今の状況の中で常にベストを尽くすということをやろうとしてくれてるので、そういう意味では選手たちの成長を感じられるシーズンだったかなと思います」と振り返った平岡ACは、「勝って終われて良かった」と安堵した。そして、続けた一言が「こんなゲームできるんじゃん!」。最後の最後で披露した会心の勝利に、驚きつつも可能性をより強く感じたようだった。
文 吉川哲彦
写真 鈴木真人











