また、新しいチームに移れば、バスケットそのものにもフィットする必要がある。そこで穴澤は主体的にコミュニケーションを取り、チームメートと共通理解を深めてきたという自負を持つ。
「自分が初めてこのチームに来たときはひたすら基礎練習をしてるなというのを感じました。難しいことをやるというよりはシンプルにスピードでバスケットをしていこうというチームで、最初はそこに慣れない部分もあったんですけど、その中でも一つひとつのプレーでミスが起こったときは必ず自分から仲間に声をかけることを意識して、意思疎通を取れるような行動はしてきたつもりです」

そんな穴澤の前所属チームが、この日の対戦相手の東京羽田だ。東京羽田のWフューチャー優勝とWプレミア昇格を知る穴澤にとって、シーズン開幕戦で古巣と戦うのはやはり嬉しいことだった。
「今回の開幕戦は一番楽しみにしていたというか、やっぱりヴィッキーズファンの方もたくさん足を運んでくださって、久しぶりに青色の景色の中で戦えたというのは不思議な気持ちでもあるし、私のタオルを持ってくれているファンの方もいたと思うと、率直にすごく楽しかったです」
東京羽田にはかつての仲間もまだ多く残っている中、実際に敵に回してみると、自身が離れてからの1年の間に古巣も一つ階段を上ったことを実感した。WプレミアとWフューチャーの間には、プレーのクォリティーだけにとどまらない差がある。
「試合中のコミュニケーションとか、自分がいたときよりもプレミアで戦ったチームという意識の部分が、自分たちのレベルに比べたら一個上だなと感じられました。自分たちは昨シーズン5位で終わったんですけど、そこからステップアップするには見習わなきゃいけない部分があるなと思います」
しかしながら、穴澤自身はSMBCに移籍して飛躍することができた。チームに欠かせないピースという自覚は、昨シーズンよりも強くなっている。練習試合や、8月下旬に山梨クィーンビーズが主催したサテライトキャンプでも対戦した敵将・萩原美樹子ヘッドコーチも「仕事をしながらでも、サイズのある私がしっかりしなきゃいけないと思って、よく頑張ってるなと思います」と成長を評価していた。
「ヴィッキーズのときに比べたらプレータイムもかなり増えていて、自信を持ってプレーすることや果敢に攻めることは特に求められてると思うので、弱気にならずにやっていきたいです。昨シーズンは交代で出て流れを変える役割だったんですけど、今シーズンはスタートになって、主となって試合に出るという意味ではチームをどれだけ引っ張れるかというのも求められてることだと思います。萩原さんに教わってたときも3ポイントはもっと狙いなさいと言われてたんですけど、そこは今日見せられたかなと思います」

仕事と競技の両立に取り組むSBMCのチームの在り方には、勝敗以上の意義がある。チームが目指すバスケットを体現するために、穴澤は全ての試合で汗をかく決意だ。
「点差云々もあると思うし、勝ち負けも大切だと思うんですけど、自分たちのバスケットをどれだけ楽しんでもらえるか。高さでやられても、ひたむきにルーズボールとか泥臭いプレー、スピードのあるバスケットを見ていただけたらという想いがあります。個人としては相手の大きい選手をディフェンスしながら、逆にオフェンスではアドバンテージを生かせると思うので、リーグ戦を通してやり続けていきたいです」
文 吉川哲彦
写真 鈴木真人











