「最後に勝てばいいやではなく、レギュラーシーズン中からしっかり戦って、勝ちをつかむことを大切にしよう」
5勝1敗のシャンソン化粧品シャンソンVマジックが、6戦全勝のデンソー アイリスに挑んだ今節。11月4日の初戦は奇数クォーターをシャンソンが、偶数クォーターはデンソーが交互に上回る展開となる。第4クォーターを16-9で上回ったデンソーが76-73で勝利し、無傷の7勝目を挙げた。残り6.7秒、シャンソンのスローインからボールを受け、最後の3ポイントシュートを打ったのは11月1日に19歳の誕生日を迎えたばかりのイゾジェ ウチェ。しかし、そのタフショットは決まらず、シャンソンが思い描いていた形でもなかった。
「デンソーは対応力が素晴らしいチームですけど、それでも勝つために相手のディフェンスを壊すことが大事です。あの場面でも自分が何とかして、シュートを決められるように、まだまだがんばりたいです」と話す吉田舞衣が本来はパスを受け、ラストシュートを託されていた。この試合がはじまる前まで、平均16.3点の数字を残していた吉田に対するマークは当然厳しい。この試合は序盤に決めた3点だけに終わった。オフェンスでうまくいかなくても、「ディフェンスやリバウンドでも貢献したい」とシーズン前に抱負を述べており、7リバウンドを記録。10点を獲られたが、赤穂ひまわりとのマッチアップは見応えがあった。
「(赤穂)ひまは自分にとって同い年ですけど、キャリアもあるし、尊敬するレベルの選手。今日は自分が負けたので、まだまだだなと感じました」
翌日、シャンソンが77-72で勝利し、デンソーに今シーズン初の黒星を与えた。吉田は18点、13リバウンドのダブルダブルをマークし、いずれもチームハイ。昨季レギュラーシーズンでは7位に終わったシャンソンにとって、超えなければならないチームは多く、デンソーもそのひとつである。この連戦を迎える前日のミーティングでは、「最後に勝てばいいやではなく、レギュラーシーズン中からしっかり戦って、勝ちをつかむことを大切にしよう」と誓い合った。気持ちが入っていたからこそ、「デンソーはリバウンドが素晴らしいので、そこに自分たちは気持ちで負けないように、アグレッシブに行けたのは良かったです」と吉田は言い、自信を得られる1勝となった。
頭角を現す新戦力の中でエースの自覚を持って開花する吉田舞衣
平均19.9点の渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)に次ぐ、18.3点はリーグ2位。15本のリバウンドとブロックショット3.6本はいずれもリーグトップの活躍を見せているのがルーキーのウチェだ(※スタッツは11月5日現在)。デンソー戦では、オリンピックに出場した日本を代表する髙田真希や馬瓜エブリンとマッチアップ。成長段階にあるウチェにとって「間違いなく刺激になり、成長に欠かせない経験である。まだまだ足りないところはたくさんあるけれども、それでも本当によくやってくれている」と鵜澤ヘッドコーチはその活躍を称え、丁寧に育てている。