富士通戦ではオコエ桃仁花や宮澤夕貴、デンソー戦では髙田真希らオリンピアンとのマッチアップを続く。「すごく落ち着いていて、シュートを打つタイミングも慌てて打つこともないですし、少ないチャンスでもしっかり決め切るところが上手だなと思いました」とその差を目の当たりにした。佐坂が目指すのは、「誰が相手でも自分のプレーを変えたくない」というブレないスタイルである。
「オリンピックに出たすごい選手たちとマッチアップする機会も多いですが、それでも自分の良いところを常に出せるようにしていきたいです。今日は0点でしたが、それでもチームとして得点が取れれば良い話です。もっとディフェンスでもプレッシャーをかけて、誰が相手でも変わらずに安定して活躍できる選手になりたいです」
新米ヘッドコーチの成長を支えるアソシエイトコーチの存在
トヨタ紡織全体としては、「タイムシェアしながら、どう均一なプレー水準を作っていけるかが今の課題。良いときと悪いときの波があり、ムラが出てしまっている」と知花ヘッドコーチは言及する。富士通との初戦では、同点で迎えた第2クォーターに11点リードを許し、トヨタ紡織は8点しか挙げられなかった。
毎試合勝利を目指すのはもちろんだが、同じくプロセスも大事にしながら強化している。「例えば、10個ある計画の中で5つしかできなかったことが、次は7つできるようになるかどうか。連敗はしているが、全然気にしていない」と知花ヘッドコーチは述べ、シーズン終了時点で目標にたどり着けば良い。今シーズンから指揮を執る新米ヘッドコーチにとっては、「試合に向けてどう準備をし、そこでどんな手応えがあるかという発見が毎日ある状態です」と、チームとともに貪欲に吸収している最中だ。
そんな知花ヘッドコーチは、東京オリンピックではアシスタントコーチとして活躍し、長くチームを離れていた。その間、福島雅人アソシエイトコーチがチームの強化に携わり、ともにベンチワークを支えている。「自分自身の成長を誰が作っていけるのかと考えたときにメンターや相談できる人が、経験値がない僕には必要」と知花ヘッドコーチは考え、三菱電機男子チームや山形銀行女子チームなどでヘッドコーチを歴任してきた福島アソシエイトコーチを招へいした。コミュニケーションを密に取りながら、フィードバックをもらうことで知花ヘッドコーチ自身の経験値を上げる役割も担っている。
選手もヘッドコーチもまだまだ発展途上のトヨタ紡織。現在2勝4敗であり、今後もENEOSサンフラワーズ、トヨタ自動車アンテロープスと強豪との対戦が続く試練の11月。ヘッドコーチが示す計画に対し、その成功割合を高めていくことで、チームが好転するポテンシャルを秘めている。
文・写真 泉誠一