── 「シュートの感覚」とか「シュートタッチ」とかってよく聞きますが、あれっていったい何なのでしょうね?
林 全然わからないですよね。打たないとわからない。
宮澤 朝の練習で最初にゴール下のシュートから打つんですけど、そのときにわかります。今日はタッチがいいなとか、今日はちょっとやばいかもって。シュートがずれたり、ブレたりするときは「ああ、今日はブレるなぁ」って感じるけど、本当にタッチがいいときは最後にボールにかかる指先の感覚がすべて一緒なんです。だから今もゴール下の近いところから始めるシューティングを毎日やって、確認しています。
林 私は体の軸ができればだいたい入る感覚がありますね。ただ私はツーハンドシュートだから、アースさん(宮澤)みたいに難しくないと思うんです。頭に変なことを考えなければ、だいたい入ります。
── 変なこと?
林 いや、今日はダメだなって考えると本当にダメなんです。試合でもそうですけど、練習でも何も考えないで打つことができれば、だいたい入ります。
── それってシューティングの本数が影響しているんでしょうか?
宮澤 自信だと思います。人それぞれ自信を持てる本数って違うと思うし、でも周りと比べて明らかに本数を打っていなければ自信にならないと思うんです。だからある程度、周りを比べても打っていて、自分が満足できる本数を打てれば、それが自信につながるのかなって思います。
林 確かに。
宮澤 もしケガをしていて、十分な練習ができていない状態で試合に出ると「あ、今週はやばいかも」って思いますね。練習で十分に打ってきたという自信がないときは結構メンタルをやられています。ただ、今までやってきたという自信を持って、試合をやりますけどね。
林 あるある……無理やりね(笑)。
宮澤 そう、実際は「いつもと違うけどな」って思いながら(笑)。
林 私はそういう意識があると入らないんですよ。だから逆に「今日は入らなくてもいい」くらいのイメージをして、試合に入ります。今日はこういう状況だし、どこかほかで……たとえば走りで頑張ろうとか、リバウンドで頑張ろうとか、3ポイントシュートが入らなかったときのことを想定して、練習をしたりしています。
宮澤 そんなこと、考えたこともなかった。
林 私は3ポイントシュートが入らないとほかのプレーにも影響しやすいんです。ディフェンスやリバウンドの集中力までなくなってしまう。そうならないよう、他のことで補うことができたら、3ポイントシュートも入ってくるんじゃないかって考えているんです。
── 林選手のバロメーターは3ポイントシュートにあると。
林 いや、基本は走りですかね。アップでめちゃめちゃ息を上げて入ると、いい感じでゲームに入っていけます。
宮澤 私は3ポイントシュートから入りますね。3ポイントシュートが入らなくて、今日はちょっと調子が悪いなぁって思ったときに、だったらディフェンスとリバウンドをやろうみたいな。3ポイントシュートが入らないまま、ディフェンスとリバウンドだけをやっていても、なんかモヤモヤする感じがするんです。もちろん結果的にリバウンドやブロックショット、アシストができたら、「まぁまぁかな」と思いますけど、やっぱり3ポイントシュートが入っていないとモヤモヤします。2点ばっかりで20点くらい獲っても、3ポイントシュートが4分の0だとモヤモヤっという感じがします。
林 私はアースさんみたいにインサイドで得点が取れない……2点を取るのも難しいから、3ポイントシュートが入らないときはディフェンスやリバウンドで何かしら貢献すれば、まだいいほうかなって思うんです。アースさんは今までスタートでやってきているから、そういう意識が高いんだと思います。その違いはあると思いますね。もちろん3ポイントシュートは決めたいと思っていますし、4本打って0は自分としてもメンタル的に結構きついです。
part3「シューターとしての自負が高みへと導く」に続く
文 三上太
写真 吉田宗彦