── プレータイムを重要視して移籍する決断をしたわけですが、富士通も選手層が厚いチームですが不安はなかったですか?
プレータイムもそうですが、環境をガラッと変えて心機一転、踏み出したい気持ちが一番強かったです。過去の経験も必要なことではありますが、私は一度全てをリセットして前に進みたい気持ちが大きく、新しい環境を求めて一からスタートしたいと思いました。
── 他のチームの選択肢もありましたか?
声をかけていただいた他のチームからも全て話を聞かせていただき、決めさせてもらいました。
── ワールドカップ後に移籍を考えはじめたとのことでしたが、シーズン中から交渉を進められるのでしょうか?
もちろん、シーズン中は他のチームの方と接触するのは禁止されています。シーズン後に移籍したい意向をチームに伝えて、そこで合意すれば移籍者リストに掲載され交渉が進められます。
── ちなみに高校3年時にデンソーへ進路を決めたときと、今回の移籍を決めたときの違いはありますか?
高校生のときもいくつかのチームからお誘いをいただきましたが、当時は顧問の先生が間に入って、相談しながら進路を決めたました。今回、移籍をするにあたっても不安が一番大きかったです。しかし、日立ハイテク(クーガーズ)からデンソーに移籍してきた山田(茉美)さんがいたので思い切って話を聞きました。そうしたら、移籍の仕方を教えてくれたとともに、後悔はしてないという話をしてくださり、背中を押してもらいました。
── 20歳になり、自己責任での大きな決断だったのではないでしょうか?
チームメイトにも相談できないし、一番してはいけないと思っていました。黙っていることも申し訳ないですが、やっぱり言えなかったです。バスケ関係者にも言えないし、一番頼ったのは親ですね。あとは、バスケに関係ない友達にも相談しながら決断をしました。
── チームメイトに相談することで移籍の気持ちが揺らぐかもしれないし、いろんな不安があったのでは?
その気持ちはすごくありました。まわりからも「3年目なのにまだ早すぎる」と言われました。
part2「チームに貢献することが幸せであり、バスケの楽しさを実感」へ続く
文 泉誠一
写真 沼田侑悟