今シーズン、最も成長した姿を見せ、印象にも残ったヘッドコーチといえば、チーム史上初のファイナル進出を決めた三菱電機コアラーズの古賀京子をおいて他にないだろう。ここは選考委員会のなかでもすんなりと決まったところ。
選手時代から生え抜きのヘッドコーチは、そのポジションに就いて3シーズン目。新人を除くと選手の入れ替わりもほぼないため、チームの完成度もかなり高い位置に持っていくことができた。さまざまなカテゴリーで日本代表、もしくはその候補に選ばれるような選手たちが多くいて、ガード、スラッシャー、シューター、ビッグマン、オールラウンダーとさまざまな個性をバランスよく配置することにも成功。しかし彼女たちのそうした才能だけで戦おうと思えば、今シーズンのような結果は出せなかったに違いない。
古賀はシーズン中でも選手たちととことんまで話し合うなど、コミュニケーションを欠かさずにチームをまとめあげた。戦術の面でも、スタッフルームで「隣の席」だという、同期入社で今はB.LEAGUEの名古屋ダイヤモンドドルフィンズのヘッドコーチをしている梶山信吾と意見交換するなど、コアラーズのバスケットを常にブラッシュアップさせてきた。そうした様々な積み上げがヘッドコーチとしての花を咲かせたといっていい。
文・写真 三上太