コーチ陣にもマイナスのことを言わず、良い言葉を発するように促されていた。「それは演技でもいいんです。本当に大事だったと思います」と常に前を向き、自信を持てたことでベスト4の壁を破る。勢いに乗って、初のファイナルにたどり着く。しかしJX-ENEOSサンフラワーズに敗れ、前人未踏の11連覇をアシストする結果となった。
ファイナル1戦目は王12点、インサイドでコンビを組む西岡里紗も11点を挙げている。しかし2戦目は王9点、西岡は0点に抑えられてしまった。高さのある三菱電機はインサイドが起点となり、イン&アウトからのガード陣の得点がベースとなる。そのとおり2戦目は根本葉瑠乃が25点、渡邉亜弥は33点を挙げ、三菱電機らしい戦いと言える。それでも、「外から3Pシュートを全部決められれば良いのですが、やっぱりインサイドがしっかりしないとファイナルも、レギュラーシーズンも勝てません」とセンター陣の活躍がさらなる高みを目指すためのカギを握る。
三菱電機は王(188cm)、西岡(186cm)とともに小菅由香(181cm)、田代桐花(185cm)、竹原レイラ(185cm)のセンター5人を擁する大きなチームだ。
「みんなすごく良い子たちであり、バスケに対して真剣に考え、真剣に取り組んでいます。それぞれの役割も、プレースタイルが違うのも良いところです。試合に出られなくても練習中は一緒に身体を張り、みんなでアドバイスをし合い、それがすごくチームのプラスになっています」
仲間たちとたどり着いたはじめてのファイナルの舞台は「素晴らしかったですね。最高でした。銀メダルでしたが、正直言って満足している部分もあります」という王は燃え尽きそうになっていた。
文 バスケットボールスピリッツ編集部
写真 吉田宗彦