── 3×3ならではのトランジションが醍醐味だと。
山本 はい。3×3ではディフェンスがボールを保持したら一度アーク(ツーポイントライン)の外にボールを出さなければ攻められないんですね。だからどの選手もアークの外に出るのに必死なんです。しかも3×3では1回の攻撃時間が12秒しかないから、オフェンスに切り替わってからの展開が早くなる分、チャンスがより生まれるというか、オフェンスの回数が増えていくんです。
── オフェンスの回数が増えれば、おのずと山本選手のようなスコアラーが活躍するシーンも増えそうです。
山本 ディフェンスでミスマッチになっていて、自分が相手のビッグマンについていたら、自分が素早くボールを取ってアークの外に出て、ミスマッチのままスピードで攻めることができます。通常のマッチアップでも、アークの外に出るまでに一度スクリーンをかけてもらって、ズレを作ってから展開をしたりするんです。
── もう少し具体的に教えていただけますか?
山本 相手がシュートを打ったら、自分がリバウンドを獲りに行って、アークの外に出る前にビッグマンからダウンスクリーンをしてもらうんですね。まずはそこでズレを作って1対1を仕掛けるか、連続してビッグマンとピック&ダイブをしてもいい。もちろん最初のスクリーンでスイッチが起こっていればミスマッチになるから、広がって1対1をしてもいい。
── でもビッグマンがリバウンドを取る可能性もあるわけでしょう? その場合はどうするんですか?
山本 いくつかの方法があるんですけど、どちらにせよドリブルでアークの外に出すか、パスで出すかなんです。でもパスで出そうとすればディフェンスがディナイをしてくるから、出せないときもある。そこで起こりうるパスミスを減らすために長谷川(誠・3×3日本代表アソシエイトコーチ)さんからは、なるべくドリブルでのキープ力のあるガードがリバウンドを取りに行こうと言われています。それでもビッグマンがリバウンドを取ったら、私たちがアークの外でボールを受けるように動いて、パスが出てきたら、ビッグマンはすぐにシールをするという戦術もあります。
── ガードがリバウンドを獲りに行くのは大変そうです。
山本 そうですね。体力的には正直しんどいです(笑)。毎回、毎回取りに行っていたら体力が持たないから、そこは臨機応変にやっています。
── Wリーグの選手であれば体力はあると思いますが、その体力とは違いますか?
山本 5対5はオールコートを何往復も走る体力が求められると思うんですけど、3×3ではコンタクトが多い分、それによる体力の消耗が大きいです。ミスマッチが多くなれば、その分相手もガンガン体をぶつけて攻めてくるし、よりスタミナを削られます。そこにプラスして、ガードがリバウンドへ、と言われると余計にコンタクトが起きるので……しんどいです(笑)。
part3へ続く
「フィジカルやスキルだけじゃない、頭脳も必要とする3×3」
文・写真 三上太