大会屈指のディフェンス力と圧倒的な選手層の厚さを誇る東海大学が5年ぶりの王座へ

12月10日〜16日まで7日間に渡り開催された第70回全日本大学バスケットボール選手権大会は東海大学の優勝で幕を閉じた。前年度の覇者・大東文化大学をブザービーターで破った早稲田大学、青山学院大学を相手に39分リードをしながら残り1分の攻防に泣いた神奈川大学、筑波大学を相手に勝利まであと一歩と迫った日本体育大学など連日手に汗握る白熱戦が続いた今大会は『70回記念』の名にふさわしい盛り上がりを見せたと言っていいだろう。

その中で東海大学はチームのアイデンティティである『強固なディフェンス』を武器に安定した力で勝ち上がってきた。一方14年ぶりに決勝の舞台に立った専修大学は『一気に流れを覆すオフェンス力』を武器とするチーム。エース盛實海翔を中心にアブ・フィリップ、西野曜がバランスよく加点し、準決勝では日本大学に逆転勝利して最後の舞台に上がった。一発勝負の味方となる『勢い』という面では東海大を上回っていたかもしれない。「リーグ戦で喫した2連敗のリベンジするためにもまずは先に主導権を握りたい」と語る佐々木優一監督の言葉にも熱がこもった。

しかし、その意に反しスタート早々主導権を握ったのは東海大学。西田優大の執拗なディフェンスの前に盛實のシュートは沈黙し、12-6とリードされた残り4分半まで得点はアブ・フィリップのゴール下シュートのみという苦しい展開となった。対する東海大学は1年生ながらスタメンに名を連ねた大倉颯太、八村阿蓮がスーパールーキーの呼び声に恥じぬ活躍を見せる。ポイントガードとして重冨周希(172cm)とマッチアップした大倉(184cm)は身長のミスマッチをついて確率よくシュートを沈め、前日の筑波大学戦で25得点、13リバウンドをマークした八村はこの日もゴール下に果敢に飛び込む頼もしいリバウンダーとなった。加えて東海大学の強さを物語っていたのはベンチメンバーの底力だ。寺嶋良が持ち前のスピードを生かしてゴール下に切れ込むと、鶴田美勇士はポストで鮮やかなスピンムーブを披露して、メンバーが代わっても攻守の強度が落ちない層の厚さを見せつけた。

前半を42-28で折り返した後半、専修大学は盛實の速攻、西野の連続シュートで波に乗るかと思われたが、東海大学はすかさず西田の3ポイント、大倉のバスカン、さらには平岩の3ポイントで押し返し流れを渡さない。最終ピリオドにはキャプテン内田旦人が有終の美を飾る2本のシュートを沈め専修大を圧倒。88-70で5年ぶり6度目の優勝に輝いた。

試合後のコメント
専修大学・佐々木優一監督

「東海大学はディフェンスのチームであり、ハーフコートのバスケットに絶対的な自信を持っていると感じていたので、得点された場合でもディフェンスリバウンドを取った場合でもとにかく速い展開に持ち込んでアタックしていくことが必要だと思っていました。やはり肝となるのはリバウンドで、選手たちにも『いかにリバウンドを確実に取ってファストブレークに持ち込めるかが大事』という話はしていました。が、序盤にはやはり固さがあって自分たちのディフェンスが思うように機能せず、東海大に先手を取られてしまいました。落ち着いていい入りをした東海大学との差がそこにあったと思います。ただ大会を通して、決勝戦にたどり着くことはいかに大変か、さらにその上の優勝を勝ち取るためには何が必要なのか、非常に大きな経験ができました。それは必ず次につながるものだと思っています」

盛實海翔(専修大学3年)

「悔しいです。自分がやるべき仕事ができなかった。させてもらえなかった悔しさがあります。東海大学はメンバーが5人入れ代わってもプレーのクォリティーが落ちないし、ディフェンスの強度も落ちません。そういう部分では自分たちはどこか穴があって、東海大学はそこをしっかり突いてきたと思います。個人的には点を取ることが1番の仕事だと言われてますが、大会を通してミスも目立ったし、判断力もフィジカルもどれを取ってもまだまだ力不足だと感じました。その1つひとつをもっと磨いて、来年またこの舞台に立てるように頑張っていきたいと思います」

東海大学・陸川章監督

「専修大学は高いオフェンス力があり乗せたら怖いチームだということはわかっていました。トランジションが早いのも特徴なので、そこを止めよう。3Pが決まると乗ってくるチームなので、そこを抑えよう。そして、ロングリバウンドを頑張ろう。選手たちにはこの3つを告げて試合に臨みました。フィリップ選手のところは普通ならダブルチームを考えるところなんでしょうが、外から3Pを打たれないためにも今回は(平岩)玄1人に任せました。よくやってくれたと思います。大倉、八村の2人は非常に能力が高い、尚且つ経験も豊富な選手ですが、東海大学のバスケットはまた違うものがあるはずです。彼らの話を聞いたり、わからないことは教えたりしてくれた先輩たちがいたからこそチームに溶け込み、この大会も伸び伸びプレーできたんじゃないでしょうか。特に私はどんなときもチームを思い、鼓舞してくれた4年生たちに感謝しています。また、今回スタメンの内4人はU22の代表に選ばれており、7月、8月はほとんどチームにいませんでした。その間に他のメンバーが厳しいトレーニングを積むことでそれぞれの個人技をしっかり磨いてくれた。その結果、ファウルトラブルだったり、ケガだったり、なんらかのアクシデントがあってもチーム力で乗り越えることができました。同時にスタメンとかセカンドとか線引きが不要なぐらい遜色のない2つのチームが出来上がったこともうちの大きな強みとなりました。私は東海大学を率いて過去4回インカレ優勝を経験していますが、今言ったチーム一体となった力、総合力という点では(今年のチームは)今までにない強さを持っていたように思います」

平岩 玄(東海大学3年)

「インカレの決勝の舞台でもうちにとってはいつもと変わらない試合の1つで、試合前にコーチがかけてくれた『平然でいよう』という言葉どおり、気負うところはなく、競った展開になっても自分たちのバスケットができたことが優勝という結果につながったと思います。去年は試合でも練習でもあまりよくない雰囲気があって、それが負のスパイラルになってしまうことがあったのですが、今年は「みんなで勝つ文化を作っていこう」とリクさん(陸川監督)に言われ、空いてる時間はみんな進んでシューティングをしたり、試合の前にミーティングをしてホワイトボードにそれぞれが考えるポイントを書き出していったりしました。すばらしい1年生が入ってきたこととそういうチームの流れが噛み合って、僕たちの中に『勝つ文化』が定着していったように思います」

<大会結果>
優勝   東海大学(5年ぶり5度目)

準優勝  専修大学
第3位  日本大学
第4位  筑波大学
第5位  青山学院大学
第6位  早稲田大学
第7位  白鷗大学
第8位  明治大学

<個人賞>
最優秀選手賞  平岩 玄(東海大学3年)
敢闘賞     盛實 海翔(専修大学3年)
優秀選手賞   西田 優大(東海大学2年)
        八村 阿蓮(東海大学1年)
        西野 曜(専修大学2年)
        杉本 天昇(日本大学2年)
        牧 隼利(筑波大学3年)

得点王     杉本 天昇(日本大学2年)85点
3ポイント王  盛實 海翔(専修大学3年)13本
アシスト王   松脇 圭志(日本大学3年)24本
リバウンド王  シェイク ケイタ(日本大学2年)79本
MIP賞     長谷川 暢(早稲田大学4年)

全日本バスケットボール連盟
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文・松原貴実 写真・吉田宗彦

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