12月18、19日に開催された3x3U18日本選手権には、その4日後に開幕するウインターカップ2021に出場する高校も数多く名を連ねた。女子の部で初優勝を達成した岐阜女子のように、5人制で強豪校としての地位を確立した高校も積極的に3x3の舞台に乗り込んできているが、それとは逆に3x3に取り組むことでチームを強化し、5人制で全国の舞台にたどり着いた高校もある。千葉県の厳しい戦いを制してウインターカップ初出場を果たした市立習志野である。
率いるのは黒田裕コーチ。JBL2時代の豊田通商(現ファイティングイーグルス名古屋)でプレーした経験があるほか、母校・市立柏高の先輩である沼田泰朋が立ち上げたストリートボールチーム・勉族にも在籍し、ALLDAYやSOMECITY、HOOP IN THE HOODといったメインストリームで名を馳せてきた。そして、国内トップリーグの3x3.EXE PREMIER創設当初から今に至るまで活躍してきた、3x3キャリアの長い選手でもある。
そんな黒田コーチが就任して10年目の今年は主要大会の県予選決勝で2度敗れながらも、ウインターカップ予選は母校・市立柏を撃破してついに全国の切符をつかんだ。待ちに待った初戦は12月24日の広島皆実戦。この試合で市立習志野は、3x3で培ったチームの長所を発揮してみせた。
序盤こそ「選手が硬くて、ゴール下も入らなかった」(黒田コーチ)と初の舞台に緊張は隠せなかったものの、試合が進むにつれて緊張もほぐれ、脚力や球際の強さが表れていった。後半はリバウンドの競り合いをほぼ全てと言っていいほど制し、セカンドチャンスからバスケットカウントをもぎ取る場面も度々見られた。「ボールに対する嗅覚やリバウンドに飛ぶタイミング、ポジション取りという点で3x3はかなり効果的だと思います」と黒田コーチが言うように、3x3に取り組んだことで養われたリバウンドの強さが勝利を呼び込んだ。
市立習志野の中軸を担う1人、朝比奈友海は3x3U18日本選手権にも出場した選手。オフェンスリバウンドを奪ってバスケットカウントをもぎ取った中には彼の姿もあった。チーム内ではサイズのあるほうで、当然のようにリバウンドはチームから求められている役割だが、その球際の強さに加え、アウトサイドから仕掛けることもできるオールラウンドなプレースタイルが最大の持ち味。それもやはり、3x3の経験によるところが大きい。
「3x3はディフェンスで体の当たりが激しくて、ルーズボールのぶつかり合いも5人制より厳しいと思うので、そういう部分は5人制に生かせていると思います。自分はインサイドプレーヤーなんですけど、3x3を始めてからはアウトサイドのプレーもやらざるを得ないので、プレーの幅を広げることにつながったと思います」
3x3U18日本選手権での市立習志野は初戦こそ突破したが、続く準々決勝はKO勝利の21点まであと1点というところで開志国際に敗れ、ベスト8止まり。朝比奈は、6日前に味わったばかりの無念をウインターカップ初戦で晴らしたい想いが人一倍強かったようだ。