インカレの最後の取材を終えた帰り道、クリスマスのイルミネーションに彩られた大きなツリーを見上げるのは毎年のことだ。そして、「今年のインカレを表す言葉はなんだろうな」と考えるのも毎年の決まり事になっている。言うなれば「今年を漢字一文字で表すならば?」という年の瀬恒例のアレに近いものだが、年によってはなかなか思い浮かばないことがある。しかし、今年は大会途中からこれしかないという言葉が浮かんだ。華やかなツリーの下でこっそり反芻してみる。
連日の熱戦を生んだもの
はじまりは2回戦で東海大学を2点差まで追い上げた大東文化大学の気迫だった。翌日の準々決勝で見たのは最後まで東海大学を苦しめた中央大学の粘り。残り16秒で追いついた筑波大学が日本大学と演じたダブルオーバータイムの死闘。準決勝で敗れたものの最大16点のビハインドから残り1分半で2点まで詰め寄った専修大学は最終日の3位の決定戦(対筑波大学)においてもまた最後まで1点を争う白熱戦を演じてみせた。そのころには『あきらめないインカレ』というフレーズが頭の中を占領していた。シンプルだが力強い『あきらめない』だ。あたりまえのことだが、どんな試合であろうと決着は必ずつく。しかし、勝者敗者に関係なく今年の大会を盛り上げたのは選手たちの『あきらめない気持ち』だった。戦う者の『あきらめない』プレーはこれほどまでに見る者の胸を揺さぶるものなのか。あらためてそれを実感した大会だったように思う。そして、その『あきらめないインカレ』を見事に締めくくったのは初優勝に輝いた白鷗大学だったと言えるだろう。
見事な逆転劇を生んだ白鷗大学の『折れなかった心』
勝因を聞かれた網野友雄監督が「粘りのチームディフェンスとあきらめないメンタル、それに尽きます」と答えたとおり、終始前を行く東海大学の背中を追いかけ逆転に成功したのは第4クォーター残り3分43秒。その間流れは何度も東海大学に傾きかけたが、それを阻んだのは粘り強いチームディフェンスであり、鮮やかな逆転劇を生んだのは「東海大学に勝てるとか勝てないとかではなく、全員で『絶対勝つ』という気持ちで臨んだ」(松下裕汰主将)という “めげないメンタル” だった。