── テレビドラマですか?
そうです。主役の中村雅俊さんを中心に恋とか友情とか人としての生き方とかを描いたドラマです。中村さんは大学のバスケット部キャプテン。毎回エンディングには主題歌をバックに散文詩みたいのが流れるんですが、それがまたかっこいい。15歳の少年の胸をガッとつかんだわけです(笑)。
── 恋と友情とバスケット!
はい、バスケットです(笑)。
── それでバスケット部に入ろうと思われた?
いえ、入学するまではバレー部に入るつもりでした。というのも中学のときの先生と進学先の県立新井高校のバレー部の先生が親しかったこともあり、高校では長身を生かしてバレー部はどうだという話になったんです。「入学したらバレー部の先生のところにあいさつに行けよ」と言われていました。ところが入学式の日、自分と同じ新入生から声をかけられたんですね。「大きいね、何センチあるの?」「部活は何やってたの?」と聞かれ「188cmぐらいあるかな。陸上をやってた」と答えると、いきなり「バスケットやらない?」と言うんですよ。聞けば彼らは全国でベスト8に入った城北中学のバスケット部出身でした。そのときまでバレー部に入ろうと思ってたのに『バスケット』と聞いたとたん頭の中に中村雅俊さんがパァーッと浮かんだんです。
── 脳内にドラマの主題歌が流れた?
そうです、そうです(笑)。だから「バスケ部の練習においでよ」と誘われたときは「行く、行く」と即答していました。バレー部の先生にあいさつしに行くはずだったのに、それも忘れてバスケ部の練習に行っちゃった。それが私とバスケットの出会いでした。
part2「『元気』を買われて大学選抜から日本代表へ」へ続く
文 松原貴実
写真 吉田宗彦