チャンスをつかむためにも準備が大切
ワールドカップ予備登録メンバー24名には、西田優大(3年)とともに平岩も名を連ねていた。日本代表は「遠いようでそう遠くはない」位置にいることを自覚している。夏には日本代表Bチームの一員として、ジョーンズカップに出場した。「プロ選手たちにとってバスケは仕事であり、ワールドカップではアピールの場としてパフォーマンスを発揮していました。それぞれが生活を懸けてプレーしている鬼気迫る感じを受けました」と多くの刺激を受ける。
平岩はこの4年間、成長につなげるための自主練習を欠かしたことはない。だが、プロ選手とともに過ごしたことで、「生活のためにも、より高みを目指していかなければならないと意識は変わりました。保証されてプレーできる大学バスケももう数ヶ月で終わるので、今からプロと同じような意識で取り組むようにはしています」と次のステージのドアを開けた。
センターの平岩が代表合宿ではスモールフォワードに取り組み、アウトサイドのプレーを身につけている。取材した専修大学戦でも果敢にドライブを仕掛け、3Pシュートを決めていた。ビッグマンをはじめとしたタレント揃いの東海大学ゆえに、インサイドを起点に手堅く勝利をさらっていくイメージが拭えない。しかし、平岩のアウトサイドやフリーランスな八村阿蓮のプレーに変化を感じた。「まわりの人から見れば、東海はセットオフェンスばかりと思われがちです。でも実は、その中でも狙っている部分があります。それをしっかり練習して試合に出せるようにしたいです」と平岩は言うように、東海大学も進化の過程にある。
日本代表の八村塁(ワシントン・ウィザーズ)とシェーファー アヴィ 幸樹(滋賀レイクスターズ)は同世代である。「塁は昔からチャンスをつかみ続けて今があるわけだし、アヴィだって大学を辞めて日本代表に入るために日本に帰ってきてそのチャンスをつかんでいます。人それぞれですが、それをつかむためにも準備しておくことが大切です」という平岩も彼らがいるステージを目指す。
今後の進路はプロ選手になることであり、そこで活躍するためにも「身体を張ること」を挙げた。「速攻を止めて、ピック&ロールを守って、リバウンドを獲って、激しさを持ってやりたい」というディフェンシブかつ平岩らしいスタイルを突き詰める。U17ワールドカップをはじめとした国際経験を生かし、研ぎ澄ませながら、「それにプラスしてアウトサイドシュートやドライブを身につけていけていければ良い」とプレーの幅を広げていくビジョンを描いている。
文・写真 泉誠一