我慢して戦い抜き、高校時代からのライバルにようやく勝てた準決勝
第59回関東大学バスケットボール新人戦「ルーキーズ・トーナメント」の決勝は、東海大学vs専修大学に決まった。準決勝で破った筑波大学も、これから戦う東海大学にも、世代別日本代表経験豊富な選手が揃っており、「我々は代表にはちょっと届かない選手」と専修大学の佐々木優一ヘッドコーチはその差を感じていた。1年生ながらチームを引っ張るポイントガードとして、スプリングトーナメントから存在感を示している喜志永修斗もこれまでは候補選手止まりである。
同じく1年生で先発ポイントガードを任される筑波大学の中田嵩基は、中学3年のときから飛び級で毎年のように世代別日本代表に選出されてきた。福岡大学附属大濠高校2年のときには八村塁とともにU19ワールドカップを経験し、世界10位になったメンバーだ。県立豊浦高校がある山口県と福岡県は、関門海峡を挟んで隣同士。幾度となく対戦してきたが高校時代は一度も勝ったことがない。「個人的にもチームとしても勝ちたい気持ちは強かったです。アイツだけには負けたくないと思ってプレーしていました」と誰よりも燃えていたのが喜志永である。
しかし試合は、最悪のスタートとなった。開始5分で10点を引き離され、先発起用された喜志永は交代を告げられる。筑波大学の勢いは止まらず、6-22と大きなビハインドを背負った。「ベンチから客観的に試合を見ることができました。(第1クォーター)残り2分でコートに戻ったときに流れを変えようと思い、チームに足りないものを考えながらプレーできたことが良かったです」と冷静さを取りもどしたことで、専修大学が息を吹き返す。
「今日は野﨑(由之)さんや(山本)翔太さんのシュートが当たっていたので、自分も気持ち良く打たせようと思って考えながらパスをしていました」という喜志永が起点となり、山本は2本、野崎は5本の3Pシュートを成功させる活躍で反撃開始。第3クォーター開始5分30秒、キング開が速攻を決め、52-52と試合を振り出しに戻した。勢いに乗ったら強いのが専修大学の伝統でもある。
「ディフェンスやリバウンドを自分たちのリズムで獲れるようになってから、自分もプッシュしたり、前にパスしてブレイクにつなげることができたことで流れを持って来ることができました」と喜志永は強気の姿勢で攻め続けた。ライバルを乗り越え、73-68で逆転勝利をつかんだ専修大学が、優勝した2002年以来となる2度目の決勝へ駒を進めた。
「出だしにやられて、みんな焦ってしまってターンオーバーも多くなった部分もありましたが、今日は我慢して戦うことを体験することができました。2年生の開さんや寺澤(大夢)さんは昨年のインカレで経験していますが、自分たちに1年生にとっては今日の試合が本当に大きな経験になりました。決勝の東海大学戦はもっと苦しい試合になることは分かっています。我慢することの大切さをみんなで体験することができたので、次につなげていきたいです」