代々木公園のバスケコートは一部の人に占有されていると思われがちですが、そんな人はいません。誰でもウェルカムですし、初心者でもOKです。そこがストリートボールの良いところであり、実は競技力向上にもつながってきます。アメリカの大学ではバスケ部だったので、自分の方が絶対にうまいというプライドがありました。でも、公園に行くとそこにいるおじさんに負けてしまうんです。シュートフォームもヘンですが、決めてくる。決定力や勝負強さが養われる場です。来日するNBA選手には機会がある毎に「ストリートでバスケをしていたか」と質問しますが、「それしかやってなかった。そこで勝負強さが身についた」とみんなが答えているのも納得です。
初心者でも参加できますが、ひとつだけ条件があります。自分からやりたいと声を挙げなければならず、向こうから一緒にやろうと誘われることはないです。日本は自分から表現しない国民性ですが、バスケはアメリカのカルチャー。どちらのカルチャーが良い悪いではなく、違う文化を日本にいながら体験できます。代々木公園のバスケコートはいろんな人種の方がいて、たまたまバスケットというプラットフォームだっただけで、実は交流の場になっています。
『様々な人が集うことで日常的に非日常なことが起こる空間』AB
代々木公園のバスケコートを日常的に利用している一人です。スタジアムができてしまうとコートがなくなる悲観的な思いがどうしてもあります。地域密着スタジアムがあれば良いという話でしたが、地域密着や多様性ある交流など全てが盛り込まれているのがこの代々木公園のバスケコートです。むしろ、一番大切な残すべきピースだと、僕らバスケットボールファンであり利用者として提言したいです。
このコートの良さはいつでも使えること。利用するのにチケットも入場料もなく、年齢・国籍・性別などの制限はなく、もちろん差別もありません。そこに行けばみんなでバスケができる環境です。このコートの一番すごいところは、いつでも勝手にワイワイと試合が行われているところです。これがカルチャーです。そこに集まった知らない人同士がチームを作って戦う、ピックアップゲームが起きているカルチャーが代々木公園のバスケコートの素晴らしさであり、日本では非常に例の少ないコートです。コートさえあれば同じように試合が起きるかと言えば、そんなことはありません。ここに根ざした目に見えない文化があり、非常に貴重なものです。地域交流の場、多様性あるいろんな人たちが集まる場として残していただきたいです。