NBDLで初代王者になり、2人の外国人を擁する東京エクセレンスに対し、それまでの3戦はダブルスコアに近い大差で敗れていた。しかし、最後の対戦となった2月23日は74-81と成長した結果を残す。その試合でWORMは13点を挙げている。
礎にあるストリートボールで培った部分が生かされている証拠だ。
「バスケットボールに対する気持ち、試合中の相手に対する気持ち、勝利へ向かう気持ちを一番学んだので、貪欲にプレイすることができました。正直言って、大学生の頃は負けてもさほど悔しくなかったし、それほど気持ちを込めて試合に入ることも無かった。ストリートに来て、気持ちの部分を学んだが一番大きく、NBDLでも集中して毎試合入ることができました」
土浦日大高から法政大学でプレイし、トップチームからの誘いもあった。しかし当時は、バスケを続けたいという気持ちさえ無かった。その後に踏み込んだストリートボールの世界に魅了されたWORMは、これまでとは違う角度からバスケと向き合うことができ、新たなる楽しさを知った。今では、バスケの舞台が多岐に渡っている。
3×3日本代表落選……悔しさを忘れずに過ごした1年間
SOMECITY、NBDLと二つの舞台で活躍するWORMには、もう一つの主戦場がある。それが世界だ。
2011年のモスクワ大会から3×3世界大会に参戦し、昨年開催された3×3ワールドツアーでは世界8位の結果を残した。また、個人としてもポイントを稼ぎ、現在3×3日本ランキング堂々1位(世界27位)。現在、3×3日本代表候補選手に名を連ねている。昨年も候補選手として合宿に参加するも、3×3アジア選手権出場メンバーの選から漏れた。
「昨年は少し油断もありました。3×3ワールドツアーにも出ていたことでの過信や、経験があることで余裕を持っていたら落ちてしまい、すごく悔しい思いをしました。その悔しい気持ちのまま1年間を過ごし、今年もまたチャンスが巡って来ました。気持ちもプレイも細かい部分から集中して、一生懸命取り組んでいきたいです」
ランキング1位が日本代表になれるわけではない、と気を引き締めて、3×3日本代表入りを目指す。
様々な舞台を欲張るWORMだが、3on3と5on5ではスイッチを切り替えて臨んでいる
「5on5の場合は、それぞれの役割があるので自分がやりたいことは自ずと制限されます。逆に3on3はスペースもあるし、一人ひとりの責任が大きくなる。また、個人にフォーカスされているので、魅せたい気持ちも強い。3on3では1on1を仕掛けたいし、やられたらやり返したいですね」
緊張したという復帰戦を終え、あらためてSOMECITYの舞台に感謝の言葉を重ねた。
「スポットライトを浴びてプレイできる、この舞台は最高です。もっと多くの人にこの場所を知ってもらいたいです」
バスケットボールの架け橋を担う
落合=WORMを知ることで、ファンはNBDLとSOMECITYの両方を楽しめる。
「SOMECITYのファンがアルファーズの試合にも来てくれていました。WORMって言われたり、落合って言われたり、僕の場合はいろいろ言われますが…(笑)。UNDERDOGのTシャツを着て応援しに来てくれた方もいて、それはうれしかったですね。3年間ストリートでプレイし、今、NBDLでプレイすることになったので、3on3と5on5の架け橋になるような存在になりたいですね」
ファンのため、そして後に続く若手ボーラーたちの鑑として、年中無休の欲張りボーラーWORMは、今日もどこかでボールを追いかけている。
文 泉誠一