のめり込むことができているからこそ、3×3全体の発展に対する想いも髙橋にはある。前述の通り、髙橋は群馬県に移住したが、4月からは前橋市のスポーツ推進地域おこし協力隊の任務を委嘱され、バスケットを中心にスポーツで地域を活性化するというミッションを請け負っている。バスケットの業界が日々拡大している今、5人制と同じように3×3も職業としての地位を確立したい、3×3で生計を立てる人を増やしたいというのは、髙橋にとってはある意味自然なことなのかもしれない。
「3×3でプロ、というところまでいかないとやってる意味がないし、今は私たちがその土台を作らないといけないと思ってます。ちょっとずつプロに近づけていくのも私たちの仕事だし、そのためには私たちがレベルを引き上げていかなきゃいけない……というのは桂葵さんが言ってました(笑)。私もそれに共感してて、でも葵さんには負けられないし、VERDYにも負けられない。しっかりチームの色を持ちながら強くなっていくというのを忘れないようにして、最終的には3×3で稼げるように、リーグも巻き込んでいかなきゃいけないと思ってます」
5人制と比較してしまうと、3×3はまだ大きなコミュニティや世の中のうねりを生み出せているとは言えないかもしれないが、だからこそ選手たちは手を取り合い、歩みを進めているところでもある。髙橋が名前を挙げた桂は、3×3の世界を広げるために、先頭に立って活動している代表格。その桂も含め、今3×3の第一線で活躍している選手たちは、切磋琢磨しながら一緒にカルチャーを作る仲間だ。
「私もそのイメージは持ってます。決勝で対戦したVERDYのみんなも『試合が終わったら飲みに行こう』くらい(笑)仲が良いですし、トップチーム同士でしっかりやり合うことでレベルを上げていけると思ってます。ちゃんとみんなアップデートしてるので、5人制の選手が結局代表に選ばれるというのではなくて、こっちから候補を出していけるようなレベルに持っていきたいです」
3×3と真摯に向き合うことで、今も日々成長する感覚を持つことができているという髙橋は、「飽き性なんですよね(笑)。短期集中! みたいなのが自分にはすごく合ってるし、それでのめりこめてるのかなと思います」と言うように、3×3向きの性格という自覚がある。3×3と出会って成長し、逆に3×3の世界を成長させようとしている髙橋は、その存在感をさらに増していくことになりそうだ。
文・写真 吉川哲彦