スラムダンク、日本代表の躍進、八村塁の活躍に「バスケがしたいです」
太陽が降り注ぎ、音楽が鳴り響く。これまでとは勝手の違うコートに立った三上は、「ふわふわしてました」と落ち着かない。ウォームアップで放った2ポイントシュートはいきなりエアボール。慣れない姿を露呈したまま、試合はスタート。しかし、1本シュートが決まると顔つきが変わった。
「シュートが入ると気持ちが落ち着くんです。でも、ラインを踏んでしまって1点でしたけどね。シュートを決めることが、僕の中での今日のミッションだったので、その後は落ち着いてプレーでき、フィジカルにもプレーできたかな」
続けて2ポイントシュートを決め、劣勢だったFUz HOKKAIDO.EXEが追い上げていく。三上のプレーも徐々に精細さが増し、ディフェンスの強度も上がっていった。しかし、デビュー戦はSHINAGAWA CC WILDCATS.EXEに13-17、続くMINAKAMI TOWN.EXEにも12-21で敗れ、予選敗退。だからこそ、本気にさせられた。
「バスケは楽しいし、熱くなる。自分を奮い立たせてくれるのがやっぱりバスケだと、あらためて感じることができました。懐かしい感じというか若返った感じもして、やっぱりバスケが大好きなんだな、と開幕戦を終えて心から実感しました。これから体を作って、まずは1勝を目指します」
今シーズンから3×3.EXE PREMIERはアサヒビールがスポンサードし、その看板には明成高校のチームメイトだった八村塁がコートを見下ろしていた。試合をしながら三上は時折、「目が合いました。北海道でも街を歩けば、身近に触れる機会が多いです。なんか近くで応援してくれているのかな、と思いながらプレーしていました。でも、僕が3×3をしていることを彼は知る由もないとは思いますけど」と言うが、離れていてもたくさんの刺激をもらっている。
7月6日(土)には北海道でホームゲームが開催される。その舞台は北海道日本ハムファイターズの本拠地・エスコンフィールド(F NEO BANK GATE)。「北海道では本当にファイターズが盛り上がっています。その本拠地でバスケができるのは、なかなかおもしろい取り組みです。3×3という競技の魅力が素晴らしく、今後もさらに伸びていくスポーツだと個人的には思っています。音楽があって若い層にも魅力的。これからは、僕も一緒に盛り上げていきたいです」と話す顔は、立派なテレビマンだった。
三上がバスケ熱を再燃した2023年は、映画スラムダンクからはじまった。湘北高校の三井寿もシューターであり、三上の復活とどこか重なる。
「流れとしては、そのブームに乗っかりました。僕はもうミーハーなので(笑)。日本代表も昨年の夏はものすごく盛り上がり、NBAではレイカーズに行った塁のすごい活躍を見て、僕もまたバスケがしたい、と思いました。もちろんずっとその想いはありましたが、いろんなタイミングや巡り合わせがあって、またコートに戻ってこられたので本当にありがたいです」
文・写真 泉誠一