「楽しんでナンボと思ってるんで。もう大学生とかでもないし、大人になってまで堅い感じで『頑張ろう』みたいなのはもういいかなって。楽しくやって、そこに勝ちが結びついてると思うし、負けちゃってもみんなで楽しくやることが大事。楽しくないと勝っても面白くないし、せっかくみんなとやるんだから楽しいほうがいいじゃないですか。10分間という短い時間の中で、楽しくやっていればいつか自分たちに流れがくる。だから、上手くいかなくてもみんなで声を出して盛り上げたりすることが勝ちにつながるんじゃないかって思ってやってます」
何故そこまで明るく振る舞えるのかを問うと「えー、本当にわかんないです。なんでだろう。考えたこともないですね」と笑うが、3×3.EXE PREMIERのような表舞台でプレーするようになった当初、周囲にはかつてWリーグでプレーしていた選手が多く、在籍したSANKAK.EXEやTOKYO DIME.EXEでも吉武は若手だった。持って生まれた性格に加え、そういった環境もどこかしら影響しているようだ。
「今は私よりも下の年齢の子がいっぱいいるんですけど、始めた頃は一番若かったので、お姉さんたちがしっかりバスケットをやってるのを下から突っつこうというのはあったんですよ。有明(葵衣)さん、小池(真理子)さん、森本(由樹)さんとかに対して『ウェーイ、何やってんだよお姉さんたちぃ~』みたいなところからこうなったんだと思います。だから、こういうのが増えてきたらたぶんやめると思います(笑)」
過去の2チームに比べると、G FLOWのチームメートは世代が近く、陽気な振る舞いが自然体でできるという。「私がただ1人でふざけてるんじゃなくて、みんなが一緒にやってくれるから居心地がいいし、本当に一緒にやってて楽しいなって思える仲間ですね」と、今まで以上にバスケットを楽しむことができている。
そんな吉武は、実は3×3の先駆者でもある。2016年に日本バスケットボール協会が初めて女子日本代表チームを結成した際、日本体育大の4人がメンバーに名を連ねた。その中に吉武も含まれていたのだ。それが3×3初体験だったが、7年が経った今、この競技を盛り上げたい気持ちは強く、このチームでできることもあると思っている。
「ただ大きい選手がいるからとか、元Wリーグ選手がいるから強いとかじゃなくて、小さくても声を出してハッスルするチームがあって、それを見た人が3×3って面白いねとか、子どもにやらせてみようかなとか、私たちが小さなきっかけになれればと思います。プレミアは女子が6チームしかないので、私もやりたい、チームを作りたいっていう人が増えたらいいなって」
もちろんそれは吉武個人だけ、あるいはG FLOWというチームだけの想いではない。女子チームの数が少ない分、コミュニティとしてはまだ大きくないものの、行動を共にすることも多い有明や岡田麻央など、同じ舞台で切磋琢磨してきた仲間たちの存在は、吉武にとって非常に心強い。
「プレーオフの海外チーム対策として昨日練習試合をしてくれて、アドバイスもくれたし、『絶対優勝しなさいよ』って活も入れてくれたので、本当にありがたいです」
運動量が多く、体を張るスタイルの吉武にとって3×3はうってつけの競技だが、逆に日本の3×3界にとっても吉武のようなキャラの立った選手は貴重。ファンのみならず他の選手までも惹きつけるその存在感で、より多くの人を巻き込むことを期待せずにはいられない。
文・写真 吉川哲彦