その環境から距離を置くことは、5人制引退を決めたときと同様に「もっとやりたい気持ちはあるんですよ。でも、1人の人間としてのライフプランみたいなものに沿って動いて、そろそろ次のステージに進まないと」という判断による。ただ、3×3と出会ってプレーへの熱を再燃させた過去があるように、「緩くは続けると思います。ちょっとモチベーションを変える感じ。まだやってほしいとは言われるんですけどね、でもそれはしょうがない。いつかは来るものだし、もしかしたら3年後くらいにはまたガッツリやってるかもしれないし(笑)」と可能性を完全に断ち切ることもしない。それくらいのファジーな関わり方が、岡田には合っているということだろう。
暑さを避けるところから始まったにもかかわらず、炎天下でプレーするようになったバスケット人生を、岡田自身は「本当に面白い」と振り返る。常に自身の未来に想いを馳せ、行動に移してきたことが、必ずしも思い描いた通りになってきたわけではないというが、意外な道が見えたことがかえって人生を豊かにする結果になっていると感じている。
「自分が決断して次の道、次の道って進んでいくと、何か良いことがやってくる。5人制を辞めたからこそ、今こうしていろんなことができてるし、3×3が始まることも知らなかったのにまた競技者としてプレーできてる。5人制を辞めて東京に来たところから、次のためにという思考で行動してきたことが、思いもよらない良いことにつながってるなって実感してます」
そんな岡田にとって、3×3という競技に出会ったことはやはりプラスに作用している部分が大きい。試合中にコーチの指示を仰ぐことができない3×3は、選手が自ら考えて動くことが5人制以上に必要となる。コミュニケーションが重視される中で、岡田の気質は3×3とマッチしていたのだろう。
「特に日本人の女性って主体性がないって言われてる中で、私はもともとあるほうだと思うんですよ。こうしよう、こうしたいというのを発信したいタイプではあるから、それが場合によって良かったり悪かったりもするんですけど、みんなで意見を言い合って、受け入れ合ってというほうが良いと私は思うし、3×3は私のそういうところがよく出る。それに対してチームが我慢してくれることもあれば、『それは違う』ってちゃんと言ってくれることもあって、自分たちで関係性を作れていると思うんです。結果を出さなきゃいけない中で信頼関係を作るというのは仕事でもバスケでも一緒だなって、考えさせられることはいっぱいあります」
株式会社サクラカゴを設立し、クリニックや大会の開催、アパレル展開など様々な事業に取り組み、日々奔走する岡田。自身のYouTubeチャンネルも持ち、インフルエンサーとしての役割も担うその原動力となっているのはバスケット界発展の願いと、その先にある社会全体への好影響だ。自身の活動がその一助になればという想いを語りだすと、岡田の言葉は止まらない。