「暑いのが昔から苦手で、直射日光が嫌いだからバスケを始めたのに(笑)」
この言葉の主は、どちらかというとアウトドア競技としての色合いが強い3×3でプレーする選手である。しかし、バスケットボールが冬にできる屋内競技として誕生したその成り立ちを考えると、その言い分にも頷けるところはある。
7月16日、日本バスケットボール協会主催の3×3 JAPAN TOUR EXTREMEは、周囲に高い建物もない東京・駒沢オリンピック公園中央広場で開催された。晴れわたった空からは太陽が容赦なく照りつけ、最高気温は約35℃。試合時間10分の競技とはいえ、優勝するためには3試合戦わなければならず、酷な環境だ。
6チームが参戦した女子カテゴリーを制したのはTOKYO BB。この日はWリーグ経験者3人に若手の北澤陽奈子を加えた布陣で臨み、ファイナルでは元5人制日本代表の藤岡麻菜美の3×3デビュー戦となったTOKYO DIMEを破った。岡田麻央は「こういう暑いときはやっぱりミスが続いちゃうなって反省してます」と語る一方で、「若くて大きい子が入ってきてくれたのは心強いし、このメンバーだったら絶対に勝てるという自信もある。悪い時間が続いても落ち着いて立て直して勝てた」と振り返る。
かつてWリーグ・トヨタ紡織でプレーした岡田は、「もっと上手くなりたかったし、もっとできる」と思いながらも将来のことを考え、26歳のときに5人制を引退。しかし、その後3×3という選択肢ができたことが運命を変えた。「まず一番に、自分がまだバスケをやりたかった」という岡田は、再びバスケットと向き合うことを決断。他にもやりたいことがあった中で、自らプレーすることにも意味を見出していた。
「まだ発展途上の世界だから仕事しながらでもできるというのはもちろんありますけど、競技者として伝えられることもたくさんある。言葉でどれだけ言っても伝わらないことってあると思うんですけど、私は仕事として子どもたちに教える機会もあるので、前向きに頑張る姿を見せて子どもたちも頑張ってくれればいいなって」
今年のTOKYO BBは、3×3.EXE PREMIERに新設されたU24枠に4人登録している。岡田によるとチームには次世代を育てるコンセプトもあるらしく、「自分たちは、いつかは抜けていくメンバー。私は、今年で一旦終わろうと思ってます」と第一線から距離を置く意向を持っている。岡田が若い世代の道標となることは、若年層だけでなく、若手が多い今のTOKYO BBにとっても価値のあることだ。
「だんだん大学生から中学生まで試合に出るようになって、普及してきてるとは思うんですけど、プロチームやトップの選手と関わることはまだ少ないんですよ。この世界に入りたいと思ってる子がどれだけいるかというとまだまだだと思うので、そういう道があるということを示せてるというのは良いことなのかなと思います。5人制が合わなくてバスケを辞めちゃう子もいるので、そういう子たちがやりたいことをできる場所であったらいいなと思ってやってます」