ご存じの方は多いと思うが、かつてWリーグ・富士通でプレーした有明は現在社業をこなしながら3×3の現役選手として活動し、その他にもWリーグ理事、NPO法人副代表といった肩書を持つ。Wリーグ理事に関しては先頃2期目に突入し、試合のネット配信で解説業も務めるなど、女子バスケットボールの普及・発展に力を注いでいるが、その中で「複数やることで相乗効果がある」と考え、自身が3×3でプレーしていることを生かしながら、その魅力を伝えていきたいという意識も非常に強い。
「最近はWリーグの選手にも3×3に興味を持ってくれる人が増えていて、それはすごくポジティブなことだと思います。この競技って絶対にボールが回ってきますし、自分らしさを表現できる競技だと思うんですよ。お客さんもこれだけ近くで応援してくれるので、自分が乗れるというか、乗るきっかけになる競技だと思います。私はWリーグではあまり結果を残せていないんですけど、そういう選手でもこんな舞台で成長できる、自分を表現できる。それを少しでも感じてもらえたら嬉しいという想いです」
多忙な日々を送る中でも、全身全霊でそれぞれの仕事に打ち込むのは、バスケットボールに対する愛着。現役でプレーすることは特に体には負担がかかるはずだが、有明はこの舞台に立てることに日々充実感を持ちながら、使命を果たそうとしている。「37歳ですけど(笑)」という言葉は自虐的でも何でもなく、むしろ、自らの身をもって限りない可能性を示そうとしているものだ。
「年齢にかかわらず、いろんな道があっていいと思います。今こうしてプレーして、Wリーグの理事もしていて、バスケットが好きだなぁって改めて感じています。プレーできるうちに表現して、積み重ねれば芽が出るということも表現していきたいです。プレミアは初年度から出させていただいてますけど、特別な環境だと思うんですよね。その中で毎年学びがあって、成長させてもらったと思うので、この舞台でしっかり恩返ししたいと思ってます。プレミアに育ててもらったという意識が強いので、自分自身の手で良い舞台を作りたいと思います」
9月にプレーオフが予定されているこのリーグ戦は、まだ始まったばかり。様々なことに取り組む中でも、今最も意識しているのはやはり現役選手としての役割だ。一選手として上を目指し続けるメンタリティーに加え、「本当に最高の雰囲気で、ここでプレーさせていただけることを幸せに思う4試合でした」と振り返ったように、高いモチベーションも備えて目の前にある目標に突き進む。
「今日はまだ最初のラウンド。まだまだ課題はたくさんあるので、次のラウンドで成長できるようにこの1週間で修正して、より良いプレーをお見せできるように、そして9月に最高のパフォーマンスができるように積み重ねていきたい、ただそれだけですね」
シーズン開幕にあたり、自身のSNSで「3×3.EXE PREMIER 2023を最高の舞台にする。選手としての集大成」と語った有明。常に成長を期し、エンジン全開で臨む彼女にとって、それは必ずしも自らの道に一区切りをつけるという意味ではないのかもしれない。
文・写真 吉川哲彦