「ブロックが続き、うまく自分の持ち味を出すことはできた」木村優斗
昨シーズンのチャンピオンであり、長きに渡って活躍してきた飯島康夫(UTSUNOMIYA BREX.EXE)も次世代選手たちの突き上げを期待する一人である。
「自分も若くして(SOMECITYや日本初のプロストリートボールリーグのLEGENDの舞台に)出て行って、たくさんの先輩方にボッコボコにされながら叩き上げられてきました。だからこそ、手を抜くことなく真摯に向き合い、戦っていきたいですね」
今シーズンより初参戦となるHOKKAIDO IWAMIZAWA FU.EXEは初戦で白星を挙げ、いきなり決勝トーナメント進出を果たす。準決勝ではUTSUNOMIYA BREX.EXEと対戦し、10-21で完敗。「強いカンファレンス(NORTHERN ISLANDS)ということもあり、チャンスがあれば1つでも勝ちたいと思って臨みました。格上との対戦もただ負けるのではなく、経験を積み重ねられるような試合内容にしたいと思って戦いました」と話すのは、24歳を迎えたばかりの木村優斗だ。195cmの長身を生かし、何本もブロックショットを決めて会場を沸かした。
「3×3という競技自体、今回がはじめてでした。屋外のコートでプレーするのもはじめてで、風や天候など3×3の洗礼を浴びました。フィジカルなゲームが多かったですが、その場面で自分の持ち味であるブロックショットを出すことができたのは良かったです。しっかりゲームにアジャストして、1発目、2発目、3発目とブロックが続き、うまく自分の持ち味を出すことはできたと思います」
しかし、UTSUNOMIYA BREX.EXE戦では逆に、飯島にブロックされてしまう。倒れた木村に手を貸し、起こし上げた飯島は「本当にうれしくて、思わず抱きついちゃいました」という突飛な行動に出た。新規参入チームの若き逸材に触れ、「強い気持ちがすごく伝わってきて、対戦していても気持ち良かったです。いくら点差が離れても最後まで手を抜くことなく勝ちに行くことを意識していました。純粋にうれしいです」という飯島は昂ぶった気持ちを抑えることができず、敬意を表して抱きつき、新チームを歓迎していた。
開幕戦での3試合を終えた木村は、「195cmあるサイズの部分でチャンピオンを相手に、少しですが渡り合えた部分はあったのではないかと思います。3×3はやられたらやり返すことの繰り返しなので、この試合を良い経験として、次の対戦では違った自分を出せることができるようになれるようにしたいです」と手応えを感じるとともに、さらなる闘志を燃やす。
木村は東海大学附属札幌高校から白鷗大学へ進み、宇都宮ブレックスのルーキー荒谷裕秀と同い年。しかし、「挫折してしまい、バスケに触れるのが怖くて向き合えない時期がありました」と振り返り、3年次にバスケを辞めている。その後、北海道に戻った195cmの逸材を放っておくことなく、いろんな人たちが手を差し伸べてくれた。今、HOKKAIDO IWAMIZAWA FU.EXEの一員となり、観客に囲まれてプレーする3×3の舞台に立っている。「今まで自分のバスケ人生の中で、ここまで注目される中でプレーしたり、いろんな方から声をかけていただける場面も多くはなかったので、ビックリしています」と目を丸くする。プロ経験あるチームメイトに囲まれながらふたたびバスケと向き合い、刺激的な日々を送っている。
今週末には東海以西のカンファレンスが開幕を迎え、試合を重ねるごとにネクストジェネレーションの名が広まることに期待したい。
文・写真 泉誠一