ポストシーズンに進めなかったBリーガーが、休む間もなく3×3に参戦。バンビシャス奈良の藤髙宗一郎は、DIMEのメンバーとして世界舞台に立った。金メダリストとの対戦を終え、「やっぱり体がタフでした」とその差を痛感する。
「ルーズボールとリバウンドがすごく強くて簡単に取らせてもらえず、こちらがやりたいオフェンスができなかったです。相手はツーメンゲームがすごくうまくて、そこでのスイッチミスを多くしてしまったことが敗因でした」
日本の3×3創生期から活躍し続けるパイオニアのひとりであるDIMEの鈴木慶太は、「金メダルを取った相手とはいえ、これまでも国際大会で対戦している慣れた相手。なので、そこは変わらずに戦うことはできました」という言葉に誇りを感じる。鈴木も、先に挙げたBREXの2人も、2000年代に隆盛したストリートボールで名を馳せてきたボーラーたちである。当時は選手たちがルールを作り、仲間を集め、その中で競い合っていた。そのシーンを後追いするかのように、国際ルールが整備されてできた3×3にすぐさま出場し、今なお力を示し続けている。だからこそ、鈴木は金メダリストを相手にも臆することなく、 “bonafire” していた。
「正直、この試合がはじまる前はすごく感情的な部分があり、コロナ禍によって取り残されたような感じがこの3年間はありました。(3×3.EXE PREMIERで優勝できず)自力出場ではなかったですが、この舞台に戻って来ることができ、新しいスタートと言っていいのかは分からないですが、もう41歳なんで(笑)。でも、この舞台に戻って来られたことにすごく感謝しています。ふたたびスタートラインに立てたからには、みんなを代表して出ている以上、しっかり結果にこだわって戦っていきたいです」
2試合目はAmsterdam(オランダ)と対戦し、懸命に追い上げたが13-22でKO負けとなり、DIMEもまた予選ラウンド敗退となった。宇都宮で行われたFIBA 3×3 WORLD TOURはUB(セルビア)が制し、2022年の3×3シーズンが幕を開けた。
日本チームに対し、今後もプロサーキットへの招待状が届くかどうかは分からない。だが、BREXとDIMEが体現したとおり、世界トップチームとの差はそこまで感じられず、多くの可能性を見出してくれた。フィリピンの首都マニラで行われる次戦(5月28日・29日)には、YOKOHAMA BEEFMAN.EXEの出場が決まっており、まず1勝を期待したい。このプロサーキットで結果を出すことが、日本のランキングを押し上げることになる。ひいては、パリオリンピック出場につながっていく。Bリーグとともに、3×3でも戦い続ける藤髙は、「東京大会のオリンピックに出られなかったことはすごく悔しかったです。次のパリ大会はもっと高い競争率になるとは思いますが、そこにもチャレンジしていきたいです」と新たな目標に向かっていた。
5月28日(土)より、国内プロリーグの3×3.EXE PREMIERがワテラス(東京都千代田区)にて開幕を迎える。Bリーグと入れ替わるように、3×3がバスケを熱い夏を盛り上げる。
文・写真 泉誠一