「あと0.5ずつくらい上げることができれば全然戦える」齊藤洋介
「超くやしいぃぃぃ……こんなに悔しいのはホントはじめて」そう叫んで天を仰いだのは、UTSUNOMIYA BREX.EXE(以下BREX)の飯島康夫だ。世界クラブ対抗3人制バスケのプロサーキットである「FIBA 3×3 World Tour」の2022年シーズンが宇都宮から開幕。BREXの初戦は昨年のチャンピオンであり、東京2020オリンピック銅メダリストを擁するセルビアのLimanと対戦。
点差を広げられそうになった中盤、齊藤洋介が半円の外から得点が倍になる2ポイントシュート(※5人制の3ポイントシュート)を次々と決めていく。しかし、3×3の試合時間である10分間を全うできず、残り9.2秒を残し、17-22のKO負けを喫した(※先に21点を取った時点で勝者となる)。世界トップチームの後ろ髪をつかむことができていたからこそ、飯島は心底悔しがっていた。
「フリースローを2本落としてしまい、レイアップもみんなが決めきれず、たらればになっちゃうけどそれさえ決まっていれば……。でも、ディフェンスは全体的にすごく良かったです。だからこそ、本当に悔しい。相手は残り7分くらいでチームファウルが5つ溜まってくれていたので(※次のファウルからフリースローが与えられる)、このままファウルを狙ってリングにアタックしていけば良かったんですが……本当にもう少しなんです」
4本の2ポイントシュートを決めた齊藤は、「あれが入ったから最終的にクロスゲームになっただけ。実力的には及んでいない」と言い、現実を突きつけられる試合でもあった。しかし、世界トップチームと肌を合わせたからこそ分かることもある。
「イージーショットは落としているし、組み立ての部分でも相手の方が一つレベルが違うということは、試合をしていても痛感しました。ただ、今ある僕ら4人のパフォーマンスを一人ひとりが、あと0.5ずつくらい上げることができれば、全然戦える相手だというのも感じています。逆に、誰か1人だけ調子が良かったり、誰か1人でも調子が悪かったりした時点で、勝てない。4人全員が今のレベルよりも、もう一回り大きいパフォーマンスをできるようになれば、普通に戦うことはできると思っています」
地元開催となったBREXにとって、「宇都宮のファンの皆さんはすごく目が肥えているので、2ポイントシュートの大きさも分かっていました。それを決めたときに盛り上がってくれて、相手もヤバいという気持ちになったと思います。皆さんの声援による後押しは、すごく力になりました」と齊藤は感謝を述べた。飯島は「宇都宮開催だから、このチームが2日目に残らなければ絶対にいけないことは、自分たちも十分わかっています」と気持ちを切り替え、残るもう1試合に懸ける。立ち上がりこそBREXペースだったが、リトアニアのŠakiaiに16-22で敗れ、残念ながら翌日に行われる決勝トーナメント進出は叶わなかった。
「金メダルを取った相手とはいえ、これまでも国際大会で対戦している慣れた相手」鈴木慶太(TOKYO DIME.EXE)
ワイルドカードを勝ち抜き、本戦への出場権をつかんだTOKYO DIME.EXE(以下DIME)。東京2020オリンピックの初代金メダリストであるラトビアのRIGAとの初戦。中盤までは一進一退の展開だったが、地力で勝るRIGAが少しずつ連続得点を挙げると流れが傾いていく。世界個人ランキング1位のナウリス・ミエジスが本領を発揮し、11-21でKO負けとなった。