2018年11月、パトリック・バウマン事務総長が直々に任命
組織委員会には元バスケ部や、バスケに熱い思いを持つ人が多く、かくいう安田さんも中学高校時代はバスケ部で汗を流してきた。
「特に強い学校だったわけでもなく、その中でもレギュラーに入れるかどうかくらいのレベルでした。それでも一生懸命でしたし、純粋に楽しかったです。それと、スラムダンクを見てバスケをはじめたので、『カッコいい!』って感じでした。女子なので、なかなか届きませんでしたが、スラムダンクの影響でワンハンドシュートの練習をずっとしていました。楽しむことと、どうカッコよくプレーするかしか考えてなかったです。高校卒業後は、10年以上まったくボールに触れる機会はなく、恥ずかしながらバスケの試合もほとんど見ていませんでした」
社会人として数々のキャリアを重ねながら迎えた2013年、転職をきっかけにふたたびバスケが生活の一部となる。3×3.EXEの立ち上げに携わり、並行してオリンピック種目を目指しはじめたFIBA(国際バスケットボール連盟)と関わりはじめると、一気に活躍の場を広げていった。当初は認知されず、苦労も絶えなかったが全国各地で大会を開催し、翌年にはプロリーグ『3×3.EXE PREMIER』を誕生させた。FIBAの国際大会を誘致し、宇都宮でワールドツアーを開催。「スポーツ競技人口を増やしたい、見る人、やる人、支える人を増やしたい」という会社の理念に当てはめ、国内外を問わず3×3を開拓していく。
歴史的な日となった2017年6月9日、東京オリンピックの正式種目として3×3の新採用が決まった。FIBAの故パトリック・バウマン事務総長から、「日本で一番3×3の発展に尽力してきたからこそ、東京オリンピックに向けて引き続きお願いしたい」と活躍が認められ、直々に任命される。2018年10月から東京オリンピック3×3競技担当として着任し、約1000日間に及ぶ準備がはじまった。
中編へ続く
文・写真 泉誠一
写真提供 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会