東京オリンピックまであと1年となった。男女揃って出場が決まったバスケットボールの中で、今、注目を集めているのが新種目として加わった3×3だ。TOKYO DIMEに所属する落合知也と小松昌弘は昨年4月のアジア大会で銅メダルを獲得した日本代表メンバー。「バスケを知らない人でも絶対楽しめるスポーツ」「5人制バスケのファンにもぜひ見てもらいたい」と口を揃える彼らに3×3の魅力とそれに懸ける思いをたっぷり語ってもらった。
「最初はストリートバスケを舐めてました」(落合)
── 経歴を振り返ると、落合さんは土浦日大高校から法政大、小松さんは仙台高校から筑波大、いわゆる強豪校でプレーしてきました。そのお2人が3×3を始めたきっかけはなんだったのでしょう。
落合 大学を卒業したとき、JBL(当時)のいくつかのチームからオファーをいただいたんですけど、自分の中でバスケに対するモチベーションがなかったんですね。JBLでプレーすることにそれほど魅力を感じてなくて、全く別の世界を見てみたい気持ちの方が強かったんです。姉がモデルをやっていたので、できるなら自分もそっちの道に進みたいと思いました。華やかな世界に対する憧れもあったし、バスケではない場所で自分を試してみたいという気持ちもあったし。で、職業としてはバスケを離れたわけですけど、そんな中で眞庭(城聖・茨城ロボッツ)がストリートバスケのチームに誘ってくれたんです。
── 眞庭さんは日本体育大学で活躍した選手ですね。
落合 そうです。彼もJBLからのオファーを蹴ってモデルを目指していました。けど、ストリートではUNDERDOGっていうチームに入って、そこでいっしょにやらないかって声かけてくれたんですね。じゃあ、ちょっと覗いてみるか、みたいなノリで行ったのが最初。それがきっかけとなって、大学卒業後はUNDERDOGのメンバーとして試合に出るようになりました。
── それまでやってきた“部活”のバスケットは違う魅力があった?
落合 ありましたねぇ。それまで自分はストリートなんて大学で活躍できなかったヤツや無名なヤツが集まってやってるんだろう、どうせたいしたことないんだろうって思ってたんですね。はっきり言えば舐めてたんです。ところが、いざ行ってみたら、何て言えばいいんだろう。すっごい熱量っていうか、これまで自分がやってきたバスケでは感じられなかった熱さがビンビン伝わってきて。それがものすごく新鮮でした。それにUNDERDOGを作った三井(秀機)さんという人がめちゃくちゃ熱い人で、日体大を卒業してお坊さんになった人なんですが、とにかく練習やトレーニングを怠ることを絶対許さないんです。どんな試合であろうと人前で戦うならそのための準備をしろ、努力を忘れるなって。ジムなんかは自前で行くんですけど、なるべくお金がかからないように先輩の家の倉庫を借りて知り合いのトレーナーさんに来てもらうこともありました。みんな仕事が終わってから集まって夜遅くまで自重トレーニングに励んで。三井さんは本当にリスペクトできる人だったし、周りにはいい選手がいっぱいいたし、気が付いたら自分が抱いていたストリートバスケのイメージがガラッと変わっていました。思えばそれが今の自分の原点になっていると思います。