part3より続く
64歳になった今もバスケットを語る北原の口調は力強く、エネルギッシュだ。
かつて日本のバスケットボールを支える柱としてコートに立ち続けたビッグマン。北原の胸には、長い時を経ても変わらないバスケットへの熱い思いがある。
僕はこれからの日本のバスケットが楽しみでならないんです。
── 日本のバスケットが低迷した要因として外に目を向けることなく、国内の問題に執着した結果、グローバル化する環境作りを怠ったこと、同時に海外の飛躍について行けなかったことを挙げていらっしゃいましたが、そのあとの『射してきた光』について語っていただけますか。
僕は日本のバスケットを強くするためには単に外国のチームと試合をするとか、海外でキャンプをするとか、有名な外国人コーチを連れてくるとか、そういう目先のことだけしていてもだめだと思うんです。それで強くなるのは一部のことだけで、もっと根本的なことを見直す必要があると思っています。それはたとえば海外で活躍できる日本人選手の育成ですね。アメリカのデビジョン1の大学で活躍する選手が生まれれば、当然の流れでNBA選手の誕生も夢ではなくなります。それが今の渡邊雄太君であり八村塁君でしょう。昔ならアメリカの大学?NBA?何を夢みたいなことを言ってるんだと言われましたよ。その夢みたいなことが今では現実になっている。ミニバスの小学生すら将来の夢に「NBA選手になること」と答える時代になりました。
── たしかに渡邊選手や八村選手に自分の未来を重ねる子どもは少なくないかもしれません。
そうですよね。NBAをよく見ればわかるようにNBAは背が高くて運動能力が図抜けた選手だけで構成されているわけじゃないんですね。もちろんNBAのレベルというのはありますよ。が、それだけじゃない。そう考えると日本人選手が持つ技術力とかまじめさとかひたむきさとかは十分武器になるかもしれない。そういう選手がアメリカの高校や大学にチャレンジすることで第2の渡邊君や八村君が出てくる可能性は十分にあります。それともう一つ長年くすぶっていた国内の問題が解決して3年前にBリーグが生まれたことも間違いなく明るい光と言えるでしょう。というのもバスケットをグローバル化するためには完全なプロ化は必至だからです。プロ化したことでチームの、選手の意識が変わってきます。事実Bリーグ発足と同時に日本のバスケット界が活性化したのは確かでしょう。